講演情報
[7]術前の棘上筋脂肪浸潤は肩腱板修復術後6か月の患者立脚型肩関節機能評価に関連する
*小野 滉介1、清松 悠2、古本 太希1、門屋 広大1、長曽我部 潤1、田中 翔大1、森田 千尋1、小倉 正敬1、山田 貴代1、髙尾 正樹2 (1. 愛媛大学医学部附属病院 リハビリテーション部、2. 愛媛大学大学院医学系研究科 整形外科学)
キーワード:
肩腱板修復術、筋内脂肪浸潤、患者立脚型評価
【はじめに,目的】
肩腱板損傷は肩関節痛や可動域制限,筋力低下を呈し,ADLに大きな影響を及ぼす疾患である.肩腱板修復術は疼痛軽減および機能改善に有効とされているが,術後の機能回復には個人差がある.近年,肩腱板筋群の脂肪浸潤は再断裂率のみならず肩関節機能低下にも関連することが報告されている.一方,術後6か月は本邦における運動器リハビリテーションの重要な到達時期であるが,患者立脚型評価との関連については十分に検討されていない.本研究の目的は,肩腱板損傷患者における術前棘上筋脂肪浸潤が,術後6か月の患者立脚型評価に及ぼす影響を明らかにすることである.
【方法】
対象は当院にて肩腱板修復術を施行した肩腱板損傷患者81例(年齢66.0±11.7歳)とした.術後プロトコールは,術後6-8週間外転装具固定とし,術後早期より他動運動を開始した.自動運動および筋力強化は装具除去後に開始した.術前MRIを用いて棘上筋の脂肪浸潤をGoutallier分類により評価し,非脂肪浸潤群(Grade 0–1)と脂肪浸潤群(Grade 2–4)に分類した.患者立脚型評価にはThe American Shoulder and Elbow Surgeons(ASES)scoreを用いて評価した.また,肩関節屈曲可動域を術前および術後6か月で測定した.術前後のASES score比較にはWilcoxon符号付順位和検定を用いた.さらに,従属変数を術後6か月ASES scoreとし,独立変数を棘上筋脂肪浸潤,共変量をBMI,糖尿病の有無,上腕二頭筋長頭腱切離の有無,術前ASES score,術前肩関節屈曲可動域,性別,年齢として重回帰分析を実施した.解析にはEZRを用い,有意水準は5%未満とした.
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究は愛媛大学医学部附属病院臨床研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号:第2604003号).研究実施に際し,自施設ホームページにオプトアウト文書を公開した.
【結果】
ASES scoreは術前と比較し術後6か月で有意に改善した(p<0.001).重回帰分析の結果,術後6か月ASES scoreには棘上筋脂肪浸潤の有無が独立して関連していた(標準回帰係数β=-0.434, p <0.001).その他の共変量に有意な関連は認めなかった.
【考察】
本研究より,肩腱板損傷患者における術前棘上筋脂肪浸潤は,術後6か月の患者立脚型評価であるASES scoreに関連する独立因子であることが示唆された.特に脂肪浸潤群では術後6か月ASES scoreが低値を示し,リハビリテーション到達時期における機能回復へ影響する可能性が考えられた.一方,本研究は肩腱板筋群全体の脂肪浸潤を反映していない点,自動肩関節可動域や筋力,断裂サイズ,術後修復状態を共変量として含めていない点が限界として挙げられる.
肩腱板損傷は肩関節痛や可動域制限,筋力低下を呈し,ADLに大きな影響を及ぼす疾患である.肩腱板修復術は疼痛軽減および機能改善に有効とされているが,術後の機能回復には個人差がある.近年,肩腱板筋群の脂肪浸潤は再断裂率のみならず肩関節機能低下にも関連することが報告されている.一方,術後6か月は本邦における運動器リハビリテーションの重要な到達時期であるが,患者立脚型評価との関連については十分に検討されていない.本研究の目的は,肩腱板損傷患者における術前棘上筋脂肪浸潤が,術後6か月の患者立脚型評価に及ぼす影響を明らかにすることである.
【方法】
対象は当院にて肩腱板修復術を施行した肩腱板損傷患者81例(年齢66.0±11.7歳)とした.術後プロトコールは,術後6-8週間外転装具固定とし,術後早期より他動運動を開始した.自動運動および筋力強化は装具除去後に開始した.術前MRIを用いて棘上筋の脂肪浸潤をGoutallier分類により評価し,非脂肪浸潤群(Grade 0–1)と脂肪浸潤群(Grade 2–4)に分類した.患者立脚型評価にはThe American Shoulder and Elbow Surgeons(ASES)scoreを用いて評価した.また,肩関節屈曲可動域を術前および術後6か月で測定した.術前後のASES score比較にはWilcoxon符号付順位和検定を用いた.さらに,従属変数を術後6か月ASES scoreとし,独立変数を棘上筋脂肪浸潤,共変量をBMI,糖尿病の有無,上腕二頭筋長頭腱切離の有無,術前ASES score,術前肩関節屈曲可動域,性別,年齢として重回帰分析を実施した.解析にはEZRを用い,有意水準は5%未満とした.
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究は愛媛大学医学部附属病院臨床研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号:第2604003号).研究実施に際し,自施設ホームページにオプトアウト文書を公開した.
【結果】
ASES scoreは術前と比較し術後6か月で有意に改善した(p<0.001).重回帰分析の結果,術後6か月ASES scoreには棘上筋脂肪浸潤の有無が独立して関連していた(標準回帰係数β=-0.434, p <0.001).その他の共変量に有意な関連は認めなかった.
【考察】
本研究より,肩腱板損傷患者における術前棘上筋脂肪浸潤は,術後6か月の患者立脚型評価であるASES scoreに関連する独立因子であることが示唆された.特に脂肪浸潤群では術後6か月ASES scoreが低値を示し,リハビリテーション到達時期における機能回復へ影響する可能性が考えられた.一方,本研究は肩腱板筋群全体の脂肪浸潤を反映していない点,自動肩関節可動域や筋力,断裂サイズ,術後修復状態を共変量として含めていない点が限界として挙げられる.
