講演情報

[68]急性期一般病棟におけるADL低下予防を目的とした多職種連携体制の実践報告 ~リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算導入前後の比較~

*大西 健太1、澁谷 由衣1、和田 捺岐1、西角 春那1、井藤 想真1、真鍋 貴明1、篠塚 伊織1、近藤 梓1、遠藤 泰弘1 (1. きたじま田岡病院 リハビリテーション科)

キーワード:

リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算、ADL低下予防、多職種連携

【はじめに,目的】
 令和6年の診療報酬改定において「リハビリテーション(以下,リハビリ)・栄養・口腔連携体制加算」が新設され,リハビリ・栄養管理・口腔ケアが統合的に連携する体制の重要性が一層強調されるようになった.このような背景を踏まえ当院急性期一般病棟でも令和7年10月より多職種連携を構築し本加算の導入を開始した.入棟後48時間以内にリハビリ・栄養管理・口腔管理の多職種評価および計画の作成を行い,ADL低下予防を目的とした介入体制とした.しかしながら,三位一体による介入体制が,ADL低下予防に寄与しているかについては十分に検証されていない現状である.そこで,本研究では,本加算導入前後の比較により,多職種連携体制が入院患者のADL低下予防および関連指標に与える影響を明らかにし,リハビリ・栄養・口腔の三位一体による介入体制の質向上につなげることを目的とした.
【方法】
 加算導入前後(前後各6ヶ月)を比較した後ろ向き観察的研究とした.対象は加算導入前後の急性期一般病棟患者767例とし,死亡退院例や2日以内退院例は除外した.加算導入前後でADL低下率と早期リハビリ割合に対してFisher正確確率検定を実施.また,Barthel Index(以下,BI)変化量や急性期一般病棟在棟日数(以下,LOS)に対して2標本ウィルコクソン検定を実施.診療科別LOSも副次解析として比較.統計解析には改変Rコマンダーを使用し,有意水準は5%未満とした.
【倫理的配慮,説明と同意】
 本研究はヘルシンキ宣言に沿った研究であり,当院臨床研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号2026-01).
【結果】
 ADL低下率(導入前1.34→導入後1.27%)は有意差を認めず(p=0.93),早期リハビリ割合(導入前77.4→導入後85.0%)も有意差を認めなかった(p=0.16).また,BI変化量(中央値:導入前10→導入後10点)は有意差を認めなかった(p=0.59)が,LOS(中央値:導入前11→導入後13日)は有意差を認めた(p=0.01).診療科別解析では,循環器患者においてLOS延長を認めた(p=0.02).なお,加算導入後のBI低下患者の75%は循環器患者の全身状態悪化症例であった.
【考察】
 加算導入後,LOS延長を認めた一方で,ADL低下率およびBI変化量は維持されていた.診療科別解析では循環器患者でLOS延長を認め,BI低下患者の75%は循環器患者の全身状態悪化症例であったことから,循環器患者に対する急性期管理や退院支援の複雑化が影響した可能性が考えられた.そのような状況でもADL関連指標が維持されていたことから,リハビリ・栄養・口腔の三位一体による多職種連携体制は,ADL低下予防に寄与している可能性が示唆された.今後は,循環器患者を中心とした高リスク症例への介入体制強化が必要である.