講演情報
[13]内側型変形性膝関節症における身体機能とアライメント指標の関連
―MPTAとJLCAの比較検討―
*和田 捺岐1、板東 和寿2、大西 健太1、澁谷 由衣1、井藤 想真1、真鍋 貴明1、近藤 梓1、遠藤 泰弘1 (1. きたじま田岡病院 リハビリテーション科、2. きたじま田岡病院 整形外科)
キーワード:
変形性膝関節症、MPTA、JLCA
【はじめに,目的】
変形性膝関節症(以下,膝OA)は身体機能低下を引き起こす代表的疾患であり,特に内側型膝OAでは下肢アライメント異常が病態進行および機能障害に関与する.膝OAの重症度評価にはKellgren-Lawrence分類が広く用いられているが,身体機能を十分に反映するものではない.そのため,定量的指標として関節内不均衡を反映するjoint line convergence angle(以下,JLCA)や,骨性アライメントを反映するmedial proximal tibial angle(以下,MPTA)などが用いられるが,これらの指標が身体機能を反映するかについての検討は不十分である.本研究では,内側型膝OA患者を対象に,MPTAおよびJLCAと身体機能の関連を検討し,画像所見から身体機能を予測し,的確な評価方法の選択および介入方針の立案に繋げることを目的とした.
【方法】
対象は,当院で平成27年1月から令和7年1月にTKA術前で入院した111膝(平均年齢80±5.6歳)から,外側型OAや骨壊死などの除外基準を除く内側型膝OA患者85膝とした.立位X線像よりJLCAおよびMPTAを測定した.身体機能評価として10m歩行速度,膝関節屈曲可動域,伸展可動域,JOA,VASを測定した.統計解析は各身体機能評価項目を目的変数,JLCA,MPTA,年齢,BMI,性別を説明変数とした重回帰分析を行った.有意水準はp<0.05,解析はEZR(Ver1.70)を使用した.
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に準拠し,臨床研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号2026-04).
【結果】
重回帰分析の結果,MPTAは10m歩行速度(β=0.36,P<0.01)および膝関節屈曲可動域(β=0.34,P<0.04)と独立して関連したが,JLCAは有意な関連を認めなかった(P>0.05).また,膝伸展可動域,JOAおよびVASとMPTA,JLCAとの関連性は認めなかった.
【考察】
骨性アライメントを反映するMPTAは歩行速度および関節可動域と関連する一方,関節内不均衡を反映するJLCAは身体機能との関連を認めなかった.初期の内側型膝OAは,軟部組織由来の変化が主体であるが,OA進行に伴いMPTA低下など骨性変形が増大すると報告されている.また,MPTA低下に伴い荷重軸が内側偏位し,歩行速度低下に関連したことが考えられた.本結果より,身体機能評価においては,関節内不均衡を反映するJLCAよりも骨性アライメントを反映するMPTAが身体機能との関連を示した.MPTAは画像所見から身体機能低下を予測する指標となる可能性があり,MPTA低下を認める症例では保存療法や術前介入時に歩行能力や膝関節可動域の低下を念頭に置いた理学療法評価・介入が重要であると考えられた.
変形性膝関節症(以下,膝OA)は身体機能低下を引き起こす代表的疾患であり,特に内側型膝OAでは下肢アライメント異常が病態進行および機能障害に関与する.膝OAの重症度評価にはKellgren-Lawrence分類が広く用いられているが,身体機能を十分に反映するものではない.そのため,定量的指標として関節内不均衡を反映するjoint line convergence angle(以下,JLCA)や,骨性アライメントを反映するmedial proximal tibial angle(以下,MPTA)などが用いられるが,これらの指標が身体機能を反映するかについての検討は不十分である.本研究では,内側型膝OA患者を対象に,MPTAおよびJLCAと身体機能の関連を検討し,画像所見から身体機能を予測し,的確な評価方法の選択および介入方針の立案に繋げることを目的とした.
【方法】
対象は,当院で平成27年1月から令和7年1月にTKA術前で入院した111膝(平均年齢80±5.6歳)から,外側型OAや骨壊死などの除外基準を除く内側型膝OA患者85膝とした.立位X線像よりJLCAおよびMPTAを測定した.身体機能評価として10m歩行速度,膝関節屈曲可動域,伸展可動域,JOA,VASを測定した.統計解析は各身体機能評価項目を目的変数,JLCA,MPTA,年齢,BMI,性別を説明変数とした重回帰分析を行った.有意水準はp<0.05,解析はEZR(Ver1.70)を使用した.
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に準拠し,臨床研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号2026-04).
【結果】
重回帰分析の結果,MPTAは10m歩行速度(β=0.36,P<0.01)および膝関節屈曲可動域(β=0.34,P<0.04)と独立して関連したが,JLCAは有意な関連を認めなかった(P>0.05).また,膝伸展可動域,JOAおよびVASとMPTA,JLCAとの関連性は認めなかった.
【考察】
骨性アライメントを反映するMPTAは歩行速度および関節可動域と関連する一方,関節内不均衡を反映するJLCAは身体機能との関連を認めなかった.初期の内側型膝OAは,軟部組織由来の変化が主体であるが,OA進行に伴いMPTA低下など骨性変形が増大すると報告されている.また,MPTA低下に伴い荷重軸が内側偏位し,歩行速度低下に関連したことが考えられた.本結果より,身体機能評価においては,関節内不均衡を反映するJLCAよりも骨性アライメントを反映するMPTAが身体機能との関連を示した.MPTAは画像所見から身体機能低下を予測する指標となる可能性があり,MPTA低下を認める症例では保存療法や術前介入時に歩行能力や膝関節可動域の低下を念頭に置いた理学療法評価・介入が重要であると考えられた.
