講演情報

[29]慢性期脳卒中者の自由生活下activPALデータにおけるMUP/MNUP設定の影響-立ち上がり回数と短時間座位boutに着目して-

*澁谷 光敬1、原田 和宏2、鶯 春夫1、平島 賢一1 (1. 徳島文理大学、2. 吉備国際大学大学院)

キーワード:

activPAL、慢性期脳卒中、MUP/MNUP

【はじめに,目的】
activPALは座位・立位・歩行を評価でき,立ち上がり回数は座位中断指標として用いられる。解析時のMUP/MNUP(Minimum Upright/Non-Upright Period:姿勢判定の最小継続時間)設定は短時間の姿勢変化の検出に影響する可能性があり,先行研究や我々の健常若年男性での検討では,短い設定ほど立ち上がりを検出しやすく,歩数や歩行時間への影響は小さいことが示されている。しかし,慢性期脳卒中者の自由生活下データでの影響は明らかでない。本研究ではMUP/MNUP設定の違いが立ち上がり回数および座位行動指標に及ぼす影響を検討した。
【方法】
慢性期脳卒中者10名(年齢69.8±8.7歳,発症後期間105.5±78.5か月,BMI24.8 ± 6.7 kg/m²)の自由生活下activPALデータを二次解析した。activPALは非麻痺側大腿前面に貼付した。同一測定データをMUP/MNUP 1秒,2秒,5秒,10秒の4条件で再処理し,その他の条件は一定とした。条件別測定記録310件を確認し,対応不完全または記録時間1440分未満の62件を除外した。残る248件(62測定日×4条件)を同一対象者・同一評価時期内で平均化し,対象者×評価時期の27組を解析単位とした。アウトカムは立ち上がり回数,30分未満の座位bout数,歩数,歩行時間,立位時間,座位時間とした。4条件間比較にFriedman検定,事後比較は10秒条件を基準にWilcoxon符号付順位検定を行い,Holm法で補正した。
【倫理的配慮,説明と同意】
所属機関の倫理審査委員会で承認を得て実施し(受理番号R7-17),対象者に書面で十分説明し同意を得た。
【結果】
立ち上がり回数はMUP/MNUPが短いほど多く(1秒47.0[26.5–66.3],2秒47.0[25.5–65.0],5秒42.2[23.0–60.1],10秒40.5[22.0–55.9]回/日,p<0.001),10秒との差は1秒+5.0,2秒+4.0,5秒+2.5回/日でいずれも有意であった。30分未満の座位bout数も有意差を認め(1秒37.3[17.5–56.5],2秒36.5[16.5–54.4],5秒33.7[15.5–50.1],10秒31.0[14.5–45.9]回/日,p<0.001),30分未満に分類された座位時間は短い設定で多かった。歩数,歩行時間,立位時間には有意差を認めなかった。
【考察】
MUP/MNUPは総座位時間よりも,立ち上がり回数や短時間座位boutなど短時間の姿勢変化を反映する指標に影響した。短い設定では短時間の立ち上がりが座位中断として検出されやすく,10秒設定では座位boutが一続きとして算出された可能性がある。真値に近い設定は判断できないが,設定値の明記と解析条件の標準化が重要である。