講演情報
[69]地域に選ばれるデイケア事業所を目指して
~当院通所リハビリテーション事業所の取り組み~
*村上 哲志1 (1. 医療法人聖愛会 ベテル三番町クリニック 通所リハビリテーション)
キーワード:
通所リハビリテーション、差別化、稼働率改善
【はじめに】近年, 通所系を始めとする医療介護サービス提供体制は量的充足を迎えており,地域社会から「選別」される厳しい飽和状態に直面している.愛媛県松山市においても通所系サービス特にデイケアは閉所や閉鎖が相次いでおり,地域において介護保険下のリハビリテーションを継続することが困難となる可能性すら考えられる.当通所リハビリテーション事業所においてもここ数年は,利用者数が減少し稼働率低下が課題であった.そこで「地域で選ばれるデイケア」を目標に4つの取り組みを実施した. 【方法】1)地域包括支援センター,居宅介護支援事業所への営業活動を積極的に実施し,当院通所リハビリテーションの機能,役割などをケアマネージャーや相談員に説明した.2)当院通所リハビリテーションの見学会・体験会を地域のケアマネージャーを対象に実施.内容は理学療法士による講話,リハビリ機器の説明と体験,理学療法士の活動歴や取得資格等を周知.フロア(2階短時間型~3階1日型)見学等を行った.3)2025年4月より要支援者中心とした,リハビリ特化型短時間利用のサービス開始.4)2025年7月よりリハビリマネジメント加算の算定開始し.利用者,家族,ケアマネージャー,医師,理学療法士等の多職種でリハビリテーション会議を開始した. 【倫理的配慮,説明と同意】本研究は,ヘルシンキ宣言に基づき,当法人倫理委員会における審査・承認を受け,倫理的配慮のもと実施した.演題発表に関連し,関連すべきCOI関係にある企業等はない. 【結果】取り組み前後で新規利用者数は2024年度14名/年から2025年度52名/年へ増加した.平均利用者数は2025年4月18.0名/日から2026年4月25.1名/日へ改善し,稼働率向上につながった. 収入に関しても2025年4月からの約1年間で増収がみられた. 【考察】今回の取り組みにおける新規紹介数の増加および稼働率向上の要因は,「自立支援・重度化防止」を明確に打ち出し,デイサービスとの差別化を図った点にある.このプロセスにおいて理学療法士が関わる意義は,単なる技術提供にとどまらず,医学的根拠に基づいたリハビリの質を保証し,それを地域へロジカルにプレゼンテーションする専門性を発揮した点にあると考える。これは理学療法士が臨床と地域マネジメント(PR,営業活動)の双方において,主導的役割を果たすことが,有効な戦略であることを示唆している.今後,当事業所が地域に求められる通所リハビリテーション事業所として機能し続けるためには,理学療法士が中心となり,実践している自立支援のアウトカムを具体的なデータとして地域社会へ継続的に発信し,その専門的プレゼンスを確立していくことが不可欠である.
