講演情報

[30]当院回復期リハビリテーション病棟における重症患者の自宅退院に関連する因子の検討

*田仁 皓晴1、田野 聡1、澁谷 光敬2、田上 俊平1、柊 直輝1 (1. 橋本病院 リハビリテーション部、2. 徳島文理大学 保健福祉学部 理学療法学科)

キーワード:

重症患者、FIM、自宅退院

【はじめに,目的】
2022年度診療報酬改定により,回復期リハビリテーション病棟(以下,回復期リハ病棟)における重症患者の受け入れ割合は,入院料1・2では30%から40%へ,入院料3・4では20%から30%へ引き上げられた.これに伴い,回復期リハ病棟では重症患者の割合が増加しており,ADL改善と在棟日数短縮を図りながら在宅復帰を促進することが求められている.しかし,重症患者の自宅退院に関連する因子について検討した報告は少ない.そこで本研究では,当院回復期リハ病棟に入棟した重症患者を対象に,自宅退院に関連する因子を検討した.
【方法】
対象は,2021年1月から2026年1月までに当院回復期リハ病棟に入棟した重症患者170名(男性82名,女性88名,平均年齢77.6±13.8歳,重症患者割合47.3%)とした.除外基準は,状態低下により死亡・転床・転院となった患者および入棟前居住地が自宅以外の者とした。対象者を直接自宅に退院した64名(自宅退院群)とそれ以外の106名(非自宅退院群)に分類した.調査項目は年齢,性別,入棟期間,疾患別,同居人数,同居人の有無,入・退棟時運動FIM,入・退棟時認知FIMとし,診療録を用いて後方視的に検討した.統計解析はMann-Whitney U検定およびχ²検定を用い,有意差を認めた項目を説明変数,退院先を目的変数として多重ロジスティック回帰分析(ステップワイズ法)を行った.統計学的分析にはRコマンダー(4.5.2)を使用し,有意水準は5%とした.
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究は橋本病院研究倫理委員会の承認(2026-01)を受け実施した.対象者には当院ホームページ上で研究趣旨を公開し,オプトアウトの機会を設けた.
【結果】
単変量解析の結果,入棟期間,同居人数,同居人の有無,入・退棟時運動FIM,入・退棟時認知FIMに有意差を認めた.これらを説明変数とした多重ロジスティック回帰分析では,退棟時運動FIMおよび同居人の有無が自宅退院に関連する因子として抽出された.また,ROC曲線解析では退棟時運動FIMのカットオフ値は28点(AUC=0.84,感度93.8%,特異度57.5%)であった.
【考察】
本研究では,退棟時運動FIMおよび同居人の有無が自宅退院に関連する独立因子として抽出された.退棟時運動FIMは退院時ADL能力を反映する指標であり,先行研究の報告と同様に,自宅退院の可否に強く関連したと考えられる.また,同居人の存在は介護支援体制の確保につながり,自宅退院を支える環境因子であることが示唆された.さらに,退棟時運動FIMのカットオフ値は28点であり,自宅退院の可否を判断する一指標となる可能性が示された.重症患者における自宅退院の促進には,ADL能力の向上に加え,入棟早期から家族支援体制の把握や環境調整を行うことが重要と考えられる.