講演情報
[40]地方急性期病院のリハビリテーション効果を検証した単施設による大規模な後方視的コホート研究
*出口 憲市1、三浦 哉2、田村 靖明1、金澤 佳弘1 (1. 徳島県鳴門病院 リハビリテーション技術科、2. 徳島大学大学院 社会産業理工学研究部)
キーワード:
急性期リハビリテーション、後方視的コホート研究、Barthel index
【はじめに,目的】
2040年まで日本の高齢者人口が高水準で推移すると予測されており,サルコペニア,フレイル,認知症等の増加により,医療と介護需要のさらなる拡大が公衆衛生上での課題とされている.一方,急性期の臨床現場では,在院日数の短縮もあり,慢性進行性疾患での再入院を繰り返す患者の増加も課題となっている.そこで本研究では,地方の急性期病院での過去10年間の臨床データを後方視的に検証して,現状のリハビリ(リハ)効果から,今後の対策を検討する.
【方法】
当院で2016年から2025年にリハ実施した患者のうち,欠損データを除外した19,887人を解析対象者とした.次に,FUJITSU電子カルテシステムのデータウェアハウスを利用して,我々が独自開発したシステムにより抽出された患者のうち,ST処方のみ550人及び死亡退院254人を除外した4,784人をサブ解析の対象者とした.統計には,SPSSver.24.0を使用しており,リハ介入前後のBI値の比較には対応のあるT検定,サブ解析はΔBarthel index(BI)を目的変数,年齢,Baseline BI,リハ総実施単位数,PT総単位数,PT平均単位数,在院日数を説明変数として重回帰分析を実施した.回帰分析は強制投入法,多重共線性は分散拡大係数により評価した.
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究は徳島県鳴門病院倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号: 2025-12).倫理指針を準拠,既存情報を匿名化後に解析しており,オプトアウトの機会を保障した.
【結果】
10年間の介入期間前後のBIは,49.7±39.0 点から70.4±35.8 点であり有意差が認められた[CI: -21.1, -20.3,p<0.0001].サブ解析の結果では,Baseline BIが最も強い負の独立関連因子として抽出され(標準化β= -0.600,B = -0.449,95%CI: -0.465, -0.432,p < 0.0001),天井効果が確認された.次に,PT総単位数が正の独立関連因子として抽出(標準化β = 0.193,B = 0.102,95%CI: 0.081, 0.123,p < 0.0001),ADL改善に寄与することが示された(R2 = 0.473).
【考察】
本研究の重要な知見は,Baseline BIの強い天井効果の影響調整後も,PT総リハ単位数がΔBIの独立関連因子として抽出された点にある.一方,PT平均単位数は関連を示さず,ADL改善には1日あたりの介入量(強度的要素)よりリハ累積量がより重要であり,独立した主要な因子であることが示唆された.この結果は,急性期患者の機能予後の最大化には,短期的な介入強度増加のみではなく,入院期間全体の継続的な量的リハ提供が重要であることを支持するものである.
2040年まで日本の高齢者人口が高水準で推移すると予測されており,サルコペニア,フレイル,認知症等の増加により,医療と介護需要のさらなる拡大が公衆衛生上での課題とされている.一方,急性期の臨床現場では,在院日数の短縮もあり,慢性進行性疾患での再入院を繰り返す患者の増加も課題となっている.そこで本研究では,地方の急性期病院での過去10年間の臨床データを後方視的に検証して,現状のリハビリ(リハ)効果から,今後の対策を検討する.
【方法】
当院で2016年から2025年にリハ実施した患者のうち,欠損データを除外した19,887人を解析対象者とした.次に,FUJITSU電子カルテシステムのデータウェアハウスを利用して,我々が独自開発したシステムにより抽出された患者のうち,ST処方のみ550人及び死亡退院254人を除外した4,784人をサブ解析の対象者とした.統計には,SPSSver.24.0を使用しており,リハ介入前後のBI値の比較には対応のあるT検定,サブ解析はΔBarthel index(BI)を目的変数,年齢,Baseline BI,リハ総実施単位数,PT総単位数,PT平均単位数,在院日数を説明変数として重回帰分析を実施した.回帰分析は強制投入法,多重共線性は分散拡大係数により評価した.
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究は徳島県鳴門病院倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号: 2025-12).倫理指針を準拠,既存情報を匿名化後に解析しており,オプトアウトの機会を保障した.
【結果】
10年間の介入期間前後のBIは,49.7±39.0 点から70.4±35.8 点であり有意差が認められた[CI: -21.1, -20.3,p<0.0001].サブ解析の結果では,Baseline BIが最も強い負の独立関連因子として抽出され(標準化β= -0.600,B = -0.449,95%CI: -0.465, -0.432,p < 0.0001),天井効果が確認された.次に,PT総単位数が正の独立関連因子として抽出(標準化β = 0.193,B = 0.102,95%CI: 0.081, 0.123,p < 0.0001),ADL改善に寄与することが示された(R2 = 0.473).
【考察】
本研究の重要な知見は,Baseline BIの強い天井効果の影響調整後も,PT総リハ単位数がΔBIの独立関連因子として抽出された点にある.一方,PT平均単位数は関連を示さず,ADL改善には1日あたりの介入量(強度的要素)よりリハ累積量がより重要であり,独立した主要な因子であることが示唆された.この結果は,急性期患者の機能予後の最大化には,短期的な介入強度増加のみではなく,入院期間全体の継続的な量的リハ提供が重要であることを支持するものである.
