講演情報
[60]術前の消化器がん高齢患者におけるバランス能力に関連する要因についての検討
*森 和之1、出口 憲市2、安部 一也1、坂東 儀昭3、松本 亮祐3、古北 由仁3、大塚 敏広3、尾方 信也3 (1. 徳島県鳴門病院 リハビリテーション技術科、2. 徳島県鳴門病院 医療技術局、3. 徳島県鳴門病院 外科)
キーワード:
消化器がん、バランス、高齢者
【はじめに,目的】
がん患者では,手術および化学療法などの治療方法による違いはあるが,バランス能力の低下による転倒リスクが高いことが報告されている.そのバランス能力低下の要因の一つとして,手術侵襲や術後の栄養状態悪化による下肢の骨格筋量と筋力の低下との関連性が報告されている.しかし,術前の身体的特性とバランス能力との関連性は明らかにされていない.その関係性を明らかにすることは,プレハビリテーションの中で,がん患者の転倒予防に必要となる運動処方の優先順位の設定に繋がると考えられる.そこで本研究では,術前の消化器がん高齢患者の身体的特性とバランス能力との関連性を検討した.
【方法】
対象は,化学療法歴のない,外科手術予定の消化器がん高齢患者の男性11名 (胃がん2名,大腸がん9名,StageⅠ: 5名,StageⅢ:6名,年齢78.0 ± 7.2歳) であり,整形外科的疾患がなくADLが自立している者とした.測定は手術前日に実施し,測定項目は,Body Mass Index (BMI),四肢骨格筋量 (SMI),位相角 (Phase Angle:PA),握力,等尺性膝伸展筋力 (下肢筋力),バランス能力の指標には重心動揺計 (アニマ社製) を用いてIndex of Postural Stability (IPS) を測定した.統計解析にはRコマンダーを使用しており,Pearsonの積率相関係数にてIPSと各測定項目との関連性を検討した.なお,有意水準は5%未満とした.
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究は,ヘルシンキ宣言に沿った研究であり,徳島県鳴門病院における研究倫理委員会の承諾 (受付番号: 2024-16) を得たものである.対象者には,事前に文章,口頭にて研究内容等について説明し,インフォームドコンセントを得た後に研究を開始した.
【結果】
測定結果は,BMI21.9±3.0 kg/m²,SMI7.07±0.91kg/m²,PA4.57±0.60°,握力28.7±6.8kg,下肢筋力5.1±1.0N/kg,IPS0.75±0.43であり,IPSと下肢筋力 (r = 0.72,P = 0.013) との間に関連性が認められた.その他のIPSと身体的特性との間に関連性は認められなかった.
【考察】
本研究の結果より,術前の消化器がん高齢患者におけるバランス能力と下肢筋力に関連性が認められた.その他に関連性が認められなかったことから,プレハビリテーションにおいて,転倒予防の視点から下肢筋力トレーニングの優先順位が高くなる可能性が示唆された.本研究の限界として,症例数が少なく,高齢健常者との比較検討もしておらず,疾患特異的な検証もできていない点が挙げられる.さらに,消化器がん高齢患者の診断から手術までの期間におけるプレリハビリテーションの効果を検討していくことも重要と考えられる.
がん患者では,手術および化学療法などの治療方法による違いはあるが,バランス能力の低下による転倒リスクが高いことが報告されている.そのバランス能力低下の要因の一つとして,手術侵襲や術後の栄養状態悪化による下肢の骨格筋量と筋力の低下との関連性が報告されている.しかし,術前の身体的特性とバランス能力との関連性は明らかにされていない.その関係性を明らかにすることは,プレハビリテーションの中で,がん患者の転倒予防に必要となる運動処方の優先順位の設定に繋がると考えられる.そこで本研究では,術前の消化器がん高齢患者の身体的特性とバランス能力との関連性を検討した.
【方法】
対象は,化学療法歴のない,外科手術予定の消化器がん高齢患者の男性11名 (胃がん2名,大腸がん9名,StageⅠ: 5名,StageⅢ:6名,年齢78.0 ± 7.2歳) であり,整形外科的疾患がなくADLが自立している者とした.測定は手術前日に実施し,測定項目は,Body Mass Index (BMI),四肢骨格筋量 (SMI),位相角 (Phase Angle:PA),握力,等尺性膝伸展筋力 (下肢筋力),バランス能力の指標には重心動揺計 (アニマ社製) を用いてIndex of Postural Stability (IPS) を測定した.統計解析にはRコマンダーを使用しており,Pearsonの積率相関係数にてIPSと各測定項目との関連性を検討した.なお,有意水準は5%未満とした.
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究は,ヘルシンキ宣言に沿った研究であり,徳島県鳴門病院における研究倫理委員会の承諾 (受付番号: 2024-16) を得たものである.対象者には,事前に文章,口頭にて研究内容等について説明し,インフォームドコンセントを得た後に研究を開始した.
【結果】
測定結果は,BMI21.9±3.0 kg/m²,SMI7.07±0.91kg/m²,PA4.57±0.60°,握力28.7±6.8kg,下肢筋力5.1±1.0N/kg,IPS0.75±0.43であり,IPSと下肢筋力 (r = 0.72,P = 0.013) との間に関連性が認められた.その他のIPSと身体的特性との間に関連性は認められなかった.
【考察】
本研究の結果より,術前の消化器がん高齢患者におけるバランス能力と下肢筋力に関連性が認められた.その他に関連性が認められなかったことから,プレハビリテーションにおいて,転倒予防の視点から下肢筋力トレーニングの優先順位が高くなる可能性が示唆された.本研究の限界として,症例数が少なく,高齢健常者との比較検討もしておらず,疾患特異的な検証もできていない点が挙げられる.さらに,消化器がん高齢患者の診断から手術までの期間におけるプレリハビリテーションの効果を検討していくことも重要と考えられる.
