講演情報
[49]急性期脳卒中患者における初期体幹4因子に基づく障害特性と退院時転帰
―4変数クラスター解析による体幹機能障害の分類―
*田上 友希1,2、高瀬 広詩1、北原 琉聖1、吉田 絢美1、新堀 菜奈1、松崎 和仁3 (1. 徳島赤十字病院 リハビリテーション科、2. 畿央大学大学院 健康科学研究科 神経リハビリテーション学研究室、3. 徳島赤十字病院 脳神経外科)
キーワード:
急性期脳卒中、体幹機能、予後
【はじめに,目的】体幹機能障害は脳卒中後高頻度に認められ,歩行・ADL転帰を左右する重要な指標である.我々は先行研究で,体幹機能が静的座位,動的座位(易・難),基本動作の4因子からなる階層構造を有することを報告した(Tagami, et al. 2026).しかし,体幹4因子に基づく障害特性が退院時ADLおよび歩行転帰をどのように層別化するかは十分に明らかでない.本研究は,急性期脳卒中患者の初期体幹4因子により体幹機能障害を分類し,各群の臨床的特徴と退院時ADL・歩行転帰との関連を検討することを目的とした. 【方法】2023年11月〜2024年5月に当院へ入院した脳卒中患者232名のうち,重度意識障害,重度認知症,重篤合併症を有する症例を除外し,解析可能であった184例を対象とした.発症後1日[中央値,IQR:1-1]に標準化された4種の体幹機能評価尺度を実施し,先行研究に基づき4因子(動的座位(易・難),静的座位,基本動作)に分類した.各因子をzスコア化し,4変数空間上でk-meansクラスター解析を行った.クラスター数はelbow法,silhouette,群サイズ,クラスターの臨床的解釈可能性を踏まえて4群とした.退院時転帰はBIおよびFACで評価し,FAC:4以上を歩行自立と定義した.退院時BIを目的変数とした線形回帰分析を実施し,年齢,発症前mRS,FMA,初期BIを調整した.歩行自立率の群間差はFisherの正確確率検定で検討した(R ver 4.4-1使用). 【倫理的配慮,説明と同意】 本研究はヘルシンキ宣言および厚生労働省の人を対象とする医学系研究に関する倫理指針および臨床研究に関する倫理指針を遵守し,当院倫理審査委員会の承認 (486号)を得て実施した.対象者には研究目的や方法,倫理的配慮,不利益に対する対策などを説明し書面にて同意を得た. 【結果】k-means解析により,軽度体幹障害群60例,動的座位(難)障害群60例,静的座位保持可・動的/基本動作障害群30例,重度体幹障害群34例の4群に分類された.退院時BIはそれぞれ90.8点,74.7点,30.5点,6.32点であった.線形回帰では,共変量調整後も,静的座位保持可・動的/基本動作障害群および重度体幹障害群は軽度体幹障害群より退院時BIが有意に低かった.歩行自立率はそれぞれ83.3%,47.5%,6.67%,0%であり,群間差は有意であった(p<0.001). 【考察】初期体幹4因子により,軽度・重度障害群に加え,動的座位(難)のみ低下する群と,静的座位が保たれても動的座位・基本動作が低下する群が抽出された.特に後者は退院時ADLおよび歩行自立率が低下しており,静的座位のみでは予後を過大評価する可能性がある.急性期では体幹4因子を組み合わせた評価がADL・歩行転帰の層別化に有用となることが示唆された.
