講演情報

[72]教育入院中の肥満症患者における身体活動量の関連因子の検討 -身体機能に着目して-

*鎌田 基夢1、斎藤 貴1、友成 健1、山田 めぐみ1、佐藤 紀1、松浦 哲也1 (1. 徳島大学病院 リハビリテーション部)

キーワード:

肥満症、身体活動量、6分間歩行距離

【はじめに,目的】
 肥満症の治療において、身体活動量は体重管理や健康状態の改善に重要な役割を果たす。減量を目的とした教育入院では、入院中の身体活動量に個人差があり、十分な身体活動量を確保できない患者もみられる。入院中の身体活動量を確保するためには、その関連因子を把握する必要がある。しかし、肥満症患者の身体活動量に関する先行研究では心理的および環境的要因が中心に検討されており、身体機能の影響については十分に明らかにされていない。そこで本研究の目的は、教育入院中の肥満症患者における身体活動量に関連する因子を、身体機能に着目して検討することである。
【方法】
 本研究は後方視的コホート研究である。包含基準は2019年5月から2025年12月までに減量目的で教育入院した肥満症患者のうち、リハビリテーション科に紹介があった者とした。除外基準は、歩行困難、データ欠損とした。入院期間中の1日あたりの平均歩数を身体活動量と定義した。検討項目は、先行研究および臨床的妥当性を考慮し、年齢、性別および入院時に評価したBMI、関節痛の有無、運動セルフエフィカシー、膝伸展筋力体重比および6分間歩行距離(6MWD)とした。統計解析では、身体活動量を目的変数、各検討項目を説明変数として単回帰分析を行い、その後、同項目を投入した重回帰分析を行った。統計解析にはEZR version 1.70を用い、有意水準は5%とした。
【倫理的配慮,説明と同意】
 本研究は後方視的研究であり、所属機関倫理委員会の承認(第4651号)を受けて実施した。対象者には、診療情報の利用に関するオプトアウトの機会を設けた。
【結果】
 全対象者80名に対して除外基準を適用後、最終的に58名を解析対象とした。対象者の年齢は46.9±13.6歳、女性は35名(60.3%)、BMIは42.8±9.2kg/m²、入院期間中の1日平均歩数は5672±2734歩/日であった。単回帰分析では、性別、膝伸展筋力体重比および6MWDが身体活動量と有意に関連していた。一方、年齢、BMI、関節痛の有無および運動セルフエフィカシーはいずれも有意な関連を認めなかった。重回帰分析では、6MWDのみが身体活動量と有意に関連していた(標準化β=0.54,p<0.01, 調整済みR2=0.24)。
【考察】
 本研究では、入院時6MWDのみが入院中の身体活動量に影響を与えていた。先行研究では身体活動量に対する心理的要因の関与が示されている一方、本研究では身体機能の影響が強く示された。教育入院という統一された環境下で評価されたため、身体活動量に対する身体機能の影響をより明確に捉えた可能性がある。以上より、教育入院中の肥満症患者の身体活動量を高めるためには、運動耐容能に着目した理学療法介入が有用である可能性が示唆された。