講演情報
[42]足底電気刺激の即時効果がバランス能力および足部機能に及ぼす影響 ~地域在住の後期高齢者を対象とした研究~
*山部 芳正1,2、三浦 哉3、高橋 啓悟3、竹内 琉星4、内海 裕也2,5 (1. 小松島リハビリテーションクリニック リハビリテーション科、2. 徳島大学 大学院 創成科学研究科、3. 徳島大学 大学院 社会産業理工学研究部、4. 医療法人 ひまわり会 中洲八木病院 リハビリテーション科、5. 徳島赤十字病院 リハビリテーション科)
キーワード:
Electrical Muscle Stimulation、地域在住の後期高齢者、転倒予防
【はじめに,目的】
我々は第80回日本体力医学会で地域在住の高齢者に対する足底からのElectrical Muscle Stimulation(以下,電気刺激)が前方バランス能力・足趾握力・足底感覚・内側縦アーチの安定性を向上させることを報告した.しかし,既報の対象者には前期・後期高齢者が混在しており,地域在住の後期高齢者に特化した効果は十分に明らかではない.そこで本研究では,一過性の電気刺激が地域在住の後期高齢者のバランス能力および足部機能に及ぼす影響を検証することを目的とした.
【方法】
対象は地域在住の後期高齢者18名(平均年齢:83.3±5.3歳)とし,足底への電気刺激および疑似刺激を用いたクロスオーバーデザインを採用した.測定項目はTimed Up & Go Test(以下,TUG),Functional Reach Test(以下,FRT),片脚立位時間,足底2点識別覚,足趾握力,舟状骨落下量とし,各条件で刺激前後を比較した.また,各刺激条件の間にWashout期間を設け,活動量の変化はIPAQ簡易版で確認した.刺激プロトコルは20分,40Hz,300μs,強度は最大耐性とした.統計解析には介入条件(電気刺激/疑似刺激)×時間(前/後)の二元配置分散分析(反復測定)を用い,交互作用が有意となった項目に対して単純主効果分析を実施した.
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究は医療法人道志社内の倫理委員会の承認(承認番号2026062)を得て実施した.対象者には研究目的および方法を説明し,書面による同意を取得した.開示すべきCOIはない.
【結果】
電気刺激条件ではFRT,足底2点識別覚,足趾握力,舟状骨落下量が有意に改善したが,TUGおよび片脚立位時間は有意な変化はみられなかった.また,IPAQ簡易版にも差はなかった.疑似刺激条件前後では,全ての項目で有意差は認められなかった.
【考察】
FRT,足底2点識別覚,足趾握力,舟状骨落下量の即時的改善には,足底筋への電気刺激による内在筋の促通,神経動員の増加が関与した可能性がある.TUGは「起立・歩行・方向転換・着座」の複数動作から成る動的バランスの複合的指標であり,要求される要素が多岐にわたるため,即時的変化が反映されにくかったと考えられる.また片脚立位時間は静的バランスを評価する課題であり,筋力よりも感覚入力や熟練度に依存するため,短時間の刺激では改善が生じにくかったと推察される.足底電気刺激は,足部機能と一部のバランス指標を即時的に改善する可能性が示され,地域在住の後期高齢者の転倒予防介入としての有用性が示唆された.
我々は第80回日本体力医学会で地域在住の高齢者に対する足底からのElectrical Muscle Stimulation(以下,電気刺激)が前方バランス能力・足趾握力・足底感覚・内側縦アーチの安定性を向上させることを報告した.しかし,既報の対象者には前期・後期高齢者が混在しており,地域在住の後期高齢者に特化した効果は十分に明らかではない.そこで本研究では,一過性の電気刺激が地域在住の後期高齢者のバランス能力および足部機能に及ぼす影響を検証することを目的とした.
【方法】
対象は地域在住の後期高齢者18名(平均年齢:83.3±5.3歳)とし,足底への電気刺激および疑似刺激を用いたクロスオーバーデザインを採用した.測定項目はTimed Up & Go Test(以下,TUG),Functional Reach Test(以下,FRT),片脚立位時間,足底2点識別覚,足趾握力,舟状骨落下量とし,各条件で刺激前後を比較した.また,各刺激条件の間にWashout期間を設け,活動量の変化はIPAQ簡易版で確認した.刺激プロトコルは20分,40Hz,300μs,強度は最大耐性とした.統計解析には介入条件(電気刺激/疑似刺激)×時間(前/後)の二元配置分散分析(反復測定)を用い,交互作用が有意となった項目に対して単純主効果分析を実施した.
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究は医療法人道志社内の倫理委員会の承認(承認番号2026062)を得て実施した.対象者には研究目的および方法を説明し,書面による同意を取得した.開示すべきCOIはない.
【結果】
電気刺激条件ではFRT,足底2点識別覚,足趾握力,舟状骨落下量が有意に改善したが,TUGおよび片脚立位時間は有意な変化はみられなかった.また,IPAQ簡易版にも差はなかった.疑似刺激条件前後では,全ての項目で有意差は認められなかった.
【考察】
FRT,足底2点識別覚,足趾握力,舟状骨落下量の即時的改善には,足底筋への電気刺激による内在筋の促通,神経動員の増加が関与した可能性がある.TUGは「起立・歩行・方向転換・着座」の複数動作から成る動的バランスの複合的指標であり,要求される要素が多岐にわたるため,即時的変化が反映されにくかったと考えられる.また片脚立位時間は静的バランスを評価する課題であり,筋力よりも感覚入力や熟練度に依存するため,短時間の刺激では改善が生じにくかったと推察される.足底電気刺激は,足部機能と一部のバランス指標を即時的に改善する可能性が示され,地域在住の後期高齢者の転倒予防介入としての有用性が示唆された.
