講演情報
[71]親子室における理学療法体験が子育て世代理学療法士の学術参加に与える影響
―学術集会における親子参加支援の試み―
*入船 直子1、福田 真也2 (1. 一般社団法人在宅療養ネットワーク、2. 医療法人社団和風会橋本病院)
キーワード:
子育て支援、生涯学習、親子室
【はじめに,目的】
理学療法士には生涯学習の継続が求められるが,子育て世代からは仕事と子育ての両立に加えた生涯学習の継続は難しく,特に学術集会への現地参加はハードルが高いという意見が聞かれる.これは「育児ー学会のジレンマ」と呼ばれ,当事者のキャリアだけでなく業界の発展にも影響を及ぼすと言われている.これに対し,近年は託児所や親子優先席の設置,オンデマンド配信などの支援がとられている.しかし,これらに子どもが専門職に触れる機会を提供するという視点でとらえた運営や報告は少ない.本研究の目的は,学術集会に設置した理学療法体験を設けた親子室の利用実態と学術集会などに対する参加意欲への影響を調査し,さらに親子で理学療法体験を共有する取り組みの意義を検討することである.
【方法】
第35回日本神経理学療法学会サテライトカンファレンス香川に,親子室を設置した.親子室には講演視聴環境に加え,休憩時間に子どもたちが車いすやストレッチポールを使用して理学療法体験ができるコーナーを設けた.利用料は無料とした.対象者は受講者とその家族とし,利用後にGoogleフォームにてアンケートを実施した.質問項目は,利用状況,講演聴講状況,親子室満足度,子育て後の学術参加頻度及び今後の参加意欲の変化,自由記載による感想とした.得られた回答について,数値選択式で回答を求めた項目は単純集計,記述式で求めた項目は質的分析を行った.
【倫理的配慮,説明と同意】
対象者には本研究の目的を説明し同意を得た.橋本病院倫理委員会に承認を得た.(承認番号4)
【結果】
親子室利用者は,受講者が8名,子ども13名(3歳~8歳,準備委員の子ども含む),付き添い2名,6家族であった.アンケート回答は6名から得られた.親子室類似環境利用経験者は17%であった.講演聴講状況は「ほとんど聴講できなかった」33%,「半分ほど聴講できた」50%,「対面参加と同程度聴講できた」17%であった.回答者全員が,子育てをするようになり研修会などへの参加頻度は下がっていたが,親子室利用後に学術参加意欲は高まり,今後も親子室のような会場があることを望むと答えた.自由記載では,「子どもが親の仕事についてイメージできた」「発表を見てもらえて良かった」「親は勉強ができ,子どもは交流できる機会だった」などの意見が得られた.理学療法体験についても「子どもとの距離感が近くなった」「親の仕事を理解する機会になった」との回答がみられた.
【考察】
理学療法体験を設けた親子室設置の効果として,子育て世代理学療法士の学術参加意欲向上が認められた.さらにその子どもには理学療法や親の仕事に興味を持つ契機となり,親子双方に肯定的な経験をもたらしたことが示唆された.親子室と理学療法体験を組み合わせた取り組みが親子で専門職への理解を深め,新たな学術参加モデルとなる可能性が示された.
理学療法士には生涯学習の継続が求められるが,子育て世代からは仕事と子育ての両立に加えた生涯学習の継続は難しく,特に学術集会への現地参加はハードルが高いという意見が聞かれる.これは「育児ー学会のジレンマ」と呼ばれ,当事者のキャリアだけでなく業界の発展にも影響を及ぼすと言われている.これに対し,近年は託児所や親子優先席の設置,オンデマンド配信などの支援がとられている.しかし,これらに子どもが専門職に触れる機会を提供するという視点でとらえた運営や報告は少ない.本研究の目的は,学術集会に設置した理学療法体験を設けた親子室の利用実態と学術集会などに対する参加意欲への影響を調査し,さらに親子で理学療法体験を共有する取り組みの意義を検討することである.
【方法】
第35回日本神経理学療法学会サテライトカンファレンス香川に,親子室を設置した.親子室には講演視聴環境に加え,休憩時間に子どもたちが車いすやストレッチポールを使用して理学療法体験ができるコーナーを設けた.利用料は無料とした.対象者は受講者とその家族とし,利用後にGoogleフォームにてアンケートを実施した.質問項目は,利用状況,講演聴講状況,親子室満足度,子育て後の学術参加頻度及び今後の参加意欲の変化,自由記載による感想とした.得られた回答について,数値選択式で回答を求めた項目は単純集計,記述式で求めた項目は質的分析を行った.
【倫理的配慮,説明と同意】
対象者には本研究の目的を説明し同意を得た.橋本病院倫理委員会に承認を得た.(承認番号4)
【結果】
親子室利用者は,受講者が8名,子ども13名(3歳~8歳,準備委員の子ども含む),付き添い2名,6家族であった.アンケート回答は6名から得られた.親子室類似環境利用経験者は17%であった.講演聴講状況は「ほとんど聴講できなかった」33%,「半分ほど聴講できた」50%,「対面参加と同程度聴講できた」17%であった.回答者全員が,子育てをするようになり研修会などへの参加頻度は下がっていたが,親子室利用後に学術参加意欲は高まり,今後も親子室のような会場があることを望むと答えた.自由記載では,「子どもが親の仕事についてイメージできた」「発表を見てもらえて良かった」「親は勉強ができ,子どもは交流できる機会だった」などの意見が得られた.理学療法体験についても「子どもとの距離感が近くなった」「親の仕事を理解する機会になった」との回答がみられた.
【考察】
理学療法体験を設けた親子室設置の効果として,子育て世代理学療法士の学術参加意欲向上が認められた.さらにその子どもには理学療法や親の仕事に興味を持つ契機となり,親子双方に肯定的な経験をもたらしたことが示唆された.親子室と理学療法体験を組み合わせた取り組みが親子で専門職への理解を深め,新たな学術参加モデルとなる可能性が示された.
