講演情報

[44]腰椎変性疾患患者の矢状面グローバルアライメントが動的立位バランスに及ぼす影響

*橋本 祐司1、島田 祐希1、田村 靖明1、出口 憲市1、髙井 健次1、平岡 友望1、安部 一也1、野々瀬 翔吾1、大向 遼太郎1、冨崎 廉1 (1. 徳島県鳴門病院 リハビリテーション技術科)

キーワード:

腰椎変性疾患、動的立位バランス、矢状面グローバルアライメント

【はじめに,目的】
腰椎変性疾患患者の立位,歩行姿勢は体幹前傾位であることが多く,その姿勢はバランス不良の原因となり,転倒リスクを増加させる可能性がある.脊柱の矢状面グローバルアライメントの指標として一定の基準を満たさない場合の動的立位バランスについて検討している報告は少ない.近年,バランスの評価方法は,重心動揺計を用いた姿勢安定度評価指標 (IPS) が用いられ,定量的に動的立位バランスを評価する有効性が示されている.そこで本研究は,腰椎変性疾患患者の矢状面グローバルアライメントが動的立位バランスに及ぼす影響について検討した.
【方法】
対象は,当院で腰椎変性疾患により手術目的で入院した146名 (男性80名,女性66名,年齢64.3 ± 11.4 ) であり,疾患の内訳は腰椎椎間板ヘルニア33名,腰部脊柱管狭窄症95名,腰椎変性すべり症18名であった.IPSの測定は,重心動揺計 (アニマ社製) を使用しており,望月らの方法に準じて実施した.測定では,裸足で足底内側を平行に10cm離した軽度開脚立位とし,中心および前後左右に自身で重心移動できる限界点で各10秒間保持するようにした.アライメントの評価は,レントゲン画像から矢状面グローバルアライメント指標であるSagittal Vertical Axis (SVA) ,骨盤回旋角 (PT) ,骨盤形態角 (PI) ,腰椎前弯角(LL) を計測し,SRS-Schwab成人脊柱変形分類に基づき,SVA<40mm,PT<20°,PI-LL<10°をアライメント良好群 (n=29) ,SVA≧40mm,PT≧20°,PI-LL≧10°をアライメント不良群 (n=33) と分類した.統計処理は,2群間の比較をMann-Whitney U検定を行い,統計処理はSPSS ver25.0を使用し,有意水準を5%とした.
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究は,ヘルシンキ宣言に沿った研究であり,対象者に説明と同意を得た.なお,本研究は徳島県鳴門病院倫理審査委員会の承認を得たものである (受付番号1342).
【結果】
アライメント良好群29名 (男性14名,女性15名,年齢64.0 ± 13.3 ),アライメント不良群33名 (男性16名,女性17名,年齢63.8 ± 13.1 )であった.アライメント良好群および不良群のIPSは1.23 ± 0.3および0.89 ± 0.4であり,有意な差が認められた (p < 0.05).
【考察】
本研究の結果から,正常な脊椎アライメントから逸脱した患者の場合,体幹前傾姿勢により股関節伸展モーメントを増加と体幹の分節的な運動が損なわれ,代償として脊椎が剛体化したことが立位バランス不良を生じさせたと考えられる.転倒予防への観点から姿勢安定化に対しても,リハビリテーション介入する必要性が示唆された.