講演情報

[17]ウェアラブル歩行解析計を用いた膝関節機能に対する調査

*宮内 博雄1、伊藤 一法1、土居 仁1、藤原 義大1 (1. 海里マリン病院 リハビリテーション科)

キーワード:

KAM、歩行、人工膝関節

【はじめに】
膝関節内転モーメント(knee adduction moment : KAM)は床反力の大きさと膝関節中心から床反力ベクトルまでのレバーアームの積で表され、膝関節の力学的負荷の程度を示す信頼性の高い指標とされている。今回ウェアラブル歩行解析計を用いKAMを主眼とする膝関節機能に対し人工関節術前後の調査を行ったので報告する。

【方法】
対象は令和7年5月から令和8年5月の期間、当院で人工膝関節置換術施行例20名(20膝:人工膝関節全置換術11膝・人工膝関節単顆置換術9膝)、年齢70.1±8.5歳、BMI 25.8±4.0、入院期間32.8±12.1日。方法はROM、筋力、歩行、日本整形外科学会膝疾患治療成績判定基準(膝JOAスコア)、KAMを評価項目とした。筋力についてはIsoforce GT-360(OG技研)を用い膝屈曲60°5秒間等尺性収縮最大値(膝伸筋および屈筋の体重比)。KAMについてはiMU One(KYOCERA)を用いsKAMおよびPeak sKAM(各々身長と体重で正規化した値※正常値sKAM 0.13未満、Peak sKAM 0.35未満)とした。KAM測定方法はセンサとタブレットデバイスをBluetooth接続し専用バンドでセンサを下腿前面(脛骨粗面)に取り付けタブレットの操作にて計測(5m程歩行)。統計処理は対応のあるt検定、Wilcoxonの符号順位検定、Pearsonの相関係数、Spearmanの順位相関係数を用いた(有意水準はp<0.05)。

【倫理的配慮,説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に基づき当院倫理審査委員会の承認を得て実施した。

【結果】
括弧は退院時を示す。ROM屈曲130±11.5(125.5±9.8)°、伸展-9.2±5.4(-6.2±4.2)°、伸展Lag 1.2±2.2(1.5±2.3)°。伸筋0.81±0.37(0.67±0.18)N・m/kg、屈筋0.39±0.15(0.39±0.16)N・m/kg。歩行速度1.04±0.24(0.98±0.21)m/s。膝JOAスコア64.7±13.6(74±7.5)点。sKAM 0.12±0.04(0.12±0.03)Nm・s/(m・kg)、Peak sKAM 0.27±0.005(0.27±0.45)Nm/(m・kg)であった。術前のsKAMと歩行に相関を認めた(r=-0.479、p<0.05)。


【考察】
KAMは荷重反応期と立脚終期にピークが生じる二峰性が特徴であり、膝OAではステージ進行に伴い立脚中期のKAMは増加し一峰性へと変化していく。KAMと筋力および歩行の関連性について様々報告されている。今後はさらなる観点を拡げた検討が必要と考える。