講演情報
[8]足OAに対して人工足関節全置換術(Total Ankle Arthroplasty: TAA)が施行された1症例
~創離開への対策と対応~
*三村 知之1、髙井 一志1 (1. 三豊総合病院企業団 リハビリテーション部)
キーワード:
変形性足関節症、人工足関節(Total Ankle Arthroplasty:TAA)、創離開
【はじめに】
変形性足関節症(以下,足OA)に対する手術療法は,確実な除痛効果から関節固定術がgold standardとされてきた.一方,人工足関節全置換術(Total Ankle Arthroplasty以下,TAA)はインプラントの耐用年数や,創離開・腱露出などの術後合併症のため普及が限定的となっている.今回,末期足OAに対しTAAを施行され,経過中に一部創離開のリスクに直面したが,軟部組織管理により独歩獲得,職場復帰に至った1症例を経験した.その経過と留意点について報告する.
【症例】
70歳代男性,病名:左右外傷性変形性足関節症(高倉田中分類:右4期/左3b期).機種:京セラ社製TNK Ankle,術式:前方アプローチ.術前/術後右TAS角:88.8°/89.7°右TLS角:74.9°/76°.右足に強い関節痛があり日常生活が制限されていた,保存療法にも抵抗を示していたため,TAAが施行されることになった.
【倫理的配慮,説明と同意】
今回の発表に際して,ヘルシンキ宣言に則って本人に説明し同意を得た.
【結果】
X日にTAA施行,2週間のシーネ固定および免荷,抜糸後より関節可動域練習(Range of Motion-ex:以下ROM-ex),軟性装具着用下での荷重歩行の後療法プログラムにて術後3日よりPT介入を開始した.術後15日より足関節ROM-ex,15㎏の部分荷重歩行(揃え型)を開始した.初期ROMは背屈0度,底屈10度であった.術後17日で背屈15度,底屈10度,前型両松葉歩行へ移行し術後22日で自宅退院となり外来リハビリへ移行した.術後49日で術創部中点より末梢側で一部離開を認めた.ただちに足関節機能訓練を中止し,歩行様式を前型から揃え型に戻すなどの負荷調整と主治医による追加固定によって創離開改善傾向となった.術後90日で職場復帰し競技スポーツの指導員も再開した.最終評価は背屈15度,底屈10度,背屈MMT5,底屈MMT4,独歩であった.
【考察】TNK Ankleはセメントレス固定かつ前方アプローチで施行されたため,初期固定への配慮や前方皮膚の伸張・腱露出等軟部組織の管理が最優先課題となる. 本症例は末期足OAながら術前アライメントが比較的保たれており,免荷解除後より両松葉歩行練習を進めた.理学療法としては軟部組織の管理を優先しながらROM-ex,筋力練習を実施していたが,結果として術後7週目に一部創離開を招いた.今回は負荷調整と主治医による再固定で改善できたが,TAAにおける軟部組織管理は中長期間必要であることが改めて示された結果となった.本症例では離開直後から速やかに運動負荷を制限し,動作時の剪断ストレスを徹底管理することで,重篤な合併症を改善させ,安全な社会復帰へ繋げることができた.
変形性足関節症(以下,足OA)に対する手術療法は,確実な除痛効果から関節固定術がgold standardとされてきた.一方,人工足関節全置換術(Total Ankle Arthroplasty以下,TAA)はインプラントの耐用年数や,創離開・腱露出などの術後合併症のため普及が限定的となっている.今回,末期足OAに対しTAAを施行され,経過中に一部創離開のリスクに直面したが,軟部組織管理により独歩獲得,職場復帰に至った1症例を経験した.その経過と留意点について報告する.
【症例】
70歳代男性,病名:左右外傷性変形性足関節症(高倉田中分類:右4期/左3b期).機種:京セラ社製TNK Ankle,術式:前方アプローチ.術前/術後右TAS角:88.8°/89.7°右TLS角:74.9°/76°.右足に強い関節痛があり日常生活が制限されていた,保存療法にも抵抗を示していたため,TAAが施行されることになった.
【倫理的配慮,説明と同意】
今回の発表に際して,ヘルシンキ宣言に則って本人に説明し同意を得た.
【結果】
X日にTAA施行,2週間のシーネ固定および免荷,抜糸後より関節可動域練習(Range of Motion-ex:以下ROM-ex),軟性装具着用下での荷重歩行の後療法プログラムにて術後3日よりPT介入を開始した.術後15日より足関節ROM-ex,15㎏の部分荷重歩行(揃え型)を開始した.初期ROMは背屈0度,底屈10度であった.術後17日で背屈15度,底屈10度,前型両松葉歩行へ移行し術後22日で自宅退院となり外来リハビリへ移行した.術後49日で術創部中点より末梢側で一部離開を認めた.ただちに足関節機能訓練を中止し,歩行様式を前型から揃え型に戻すなどの負荷調整と主治医による追加固定によって創離開改善傾向となった.術後90日で職場復帰し競技スポーツの指導員も再開した.最終評価は背屈15度,底屈10度,背屈MMT5,底屈MMT4,独歩であった.
【考察】TNK Ankleはセメントレス固定かつ前方アプローチで施行されたため,初期固定への配慮や前方皮膚の伸張・腱露出等軟部組織の管理が最優先課題となる. 本症例は末期足OAながら術前アライメントが比較的保たれており,免荷解除後より両松葉歩行練習を進めた.理学療法としては軟部組織の管理を優先しながらROM-ex,筋力練習を実施していたが,結果として術後7週目に一部創離開を招いた.今回は負荷調整と主治医による再固定で改善できたが,TAAにおける軟部組織管理は中長期間必要であることが改めて示された結果となった.本症例では離開直後から速やかに運動負荷を制限し,動作時の剪断ストレスを徹底管理することで,重篤な合併症を改善させ,安全な社会復帰へ繋げることができた.
