講演情報

[45]腰椎変性疾患患者の術後四肢骨格筋量の変化 −術式の違いによる比較−

*島田 祐希1、後藤 強2、橋本 祐司1、出口 憲市1、田村 靖明1、安部 一也1、野々瀬 翔吾1、千川 隆志3 (1. 徳島県鳴門病院 リハビリテーション技術科、2. 徳島文理大学 保健福祉学部 理学療法学科 、3. 徳島県鳴門病院 脊椎脊髄センター)

キーワード:

腰椎変性疾患、四肢骨格筋量、術後変化

【はじめに,目的】
腰椎変性疾患 (LDSD)のサルコペニア有病率を報告したSystematic Reviewでは,LDSD患者の24.8%がサルコペニアに罹患していることが示されている.さらに,LDSD患者の四肢骨格筋量 (SMI) は,腰痛および腰痛関連機能障害と関連することが報告されている.一方で,LDSD患者の術後SMIの変化を報告した先行研究では,術前と術後1年で有意差を認めないことが報告されているが,腰椎除圧術および固定術を分類せず総合的に検討しており,術式別のSMI術後変化については十分検討させていない.術式別の四肢骨格筋量術後変化を把握することは,運動療法やセルフエクササイズなどの運動処方を行う上で重要であると考えられる.そこで本研究では,腰椎除圧術および腰椎固定術における術後の四肢骨格筋量の変化を検討することを目的とした.
【方法】
当院でLDSDに対して観血的治療を施行した患者241名のうち術前および術後3ヶ月の測定が可能であった53名を対象とし,腰椎除圧術を施行したものをD群 (40名) ,腰椎固定術を施行したものF群 (13名) に分類した.術前および術後3ヶ月の骨格筋指数 (SMI) は,四肢骨格筋量の合計を身長の2乗で除して算出した.統計解析は群 (術式) ×時間 (術前・術後3ヶ月) の二元配置分散分析および多重比較検定としてボンフェローニ法を用い,有意水準は5%とした.
【倫理的配慮,説明と同意】
研究参加にあたっては,本人からインフォームド・コンセントを得た.本研究は,当院倫理審査委員会の承認を得て (承認番号:1386) ,ヘルシンキ宣言に基づいて実施した.
【結果】
D群のSMIは,術前6.88±1.05kg/m2,術後3ヶ月6.98±1.06kg/m2であり, F群では,それぞれ6.21±1.13kg/m2,6.11±0.98kg/m2であった.両群ともに術前と術後3ヶ月間に有意な時間の主効果は認められなかったが,群×時間の交互作用が有意であった(p<0.05).すなわち,術式の違いにより術後の改善度が異なることが示された.
【考察】
D群およびF群のSMIに群×時間の交互作用を認めた要因として,腰椎除圧術後では運動制限が少ないのに対し,腰椎固定術後では過度な体幹運動を制限するよう指導するため,退院後の身体活動の違いが影響した可能性がある.したがって,腰椎固定術患者では,術後の運動療法で術部に負荷を加えない方法で,筋力増強運動を指導するなど,骨格筋量維持を目的とした運動処方を行っていく必要があると考えられる.