講演情報

[36]姿勢安定度評価指標と身体的特性から准高齢者および高齢者の違いを比較検証

*平岡 友望1、出口 憲市1、田村 靖明1、橋本 祐司1、森 和之1、島田 祐希1 (1. 徳島県鳴門病院 リハビリテーション技術科)

キーワード:

IPS、身体特性、身体活動量

【はじめに,目的】
近年,高齢者では活動性の向上や社会コミュニティへの参加が高まり,身体的機能変化の出現が,5~10年遅延していると報告されている.一方,75歳以上の高齢者は,65歳から74歳の准高齢者と比較して転倒率が2.2倍になると報告されている.しかし,転倒の原因である筋力やバランス能力などの身体的特性において,客観的測定項目による年齢別の報告は少ない.これらを明らかにすることは,各年代における転倒予防や介護予防への指標となり,公衆衛生上で重要な点になる可能性がある.そこで本研究では,准高齢者および高齢者における身体的特性を比較検討した.
【方法】
対象者は,健常高齢者の女性72名であり,65-74歳を准高齢者群 (58名,年齢:69.1±2.4歳,BMI:23.3±2.6kg/m2) および75歳以上を高齢者群 (14名,年齢:79.4±3.5歳,BMI:25.6±4.5kg/m2) に分類した.姿勢安定度評価指標(IPS)の測定は,望月が考案した方法により,重心動揺計(アニマ社製)を使用して測定した.骨格筋量は,身体組成(In Body)の測定後に四肢骨格筋量(SMI)を算出し,等尺性膝伸展筋力(Hand Held Dynamometer)を体重比から算出した.動脈機能の測定は,血圧脈波検査装置を用いて,上腕-足首間脈波伝播速度(baPWV)を測定した.両群の比較には対応のないT検定により検討した(SPSSver24.0).なお,有意水準は5%未満とした.
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究は,ヘルシンキ宣言に沿った研究であり,徳島県鳴門病院における研究倫理委員会の承諾 (受付番号: 1327) を得たものである.対象者には,事前に研究内容等について説明し,インフォームドコンセントを得た後に研究を開始した.
【結果】
准高齢者群および高齢者群のSMIは5.76±0.52,5.79±0.92 kg/m2,膝伸展筋力は4.5±1.4,4.3±1.2kgf/kg,baPWVは1630±253,1849±422 cm/secであり,有意な差は認められなかった.IPSは,1.25±0.30,0.89±0.40と高齢者群において著明に低下しており,有意差が認められた(P<0.0001).
【考察】
本研究の対象者は,地域コミュティに参加している健常者であり,活動性が高いために両群の下肢筋力,骨格筋量には差が認められなかったが,高齢者群のIPSには著明な低下が認められた.また,動脈機能の低下は,身体活動量低下との関連性が報告されており,高齢者群のbaPWV高値は,活動量の低下が影響している可能性があり,バランス能力の低下要因になる可能性も考えられる.今後の課題としては,症例数の増加,活動量,ベースライン値のバイアス調整と介入による因果関係の証明をすることが重要と考えられた.