講演情報
[3]変形性股関節症患者における痛みの時間的加重に関連する因子の検討
*小田 翔太1、池田 憲周1、岡 千尋1、細田 里南1 (1. 高知大学医学部附属病院リハビリテーション部)
キーワード:
変形性股関節症、痛みの時間的加重、歩行時着地衝撃
【はじめに、目的】痛みの時間的加重(TSP)は、反復する侵害刺激入力によって痛みが増幅する現象で、上行性疼痛促通系の機能を反映する。人工関節置換術を対象に術前TSPの亢進と術後急性期疼痛の増悪や疼痛回復の遅延との関連が報告されている。そのため、術前からTSP亢進患者を抽出し、疼痛感受性の増悪を予防する介入戦略を構築することは重要であるが、TSP亢進に影響する因子は明らかでない。本研究の目的は、変形性股関節症患者(Hip OA)における術前のTSP亢進に関連する因子を検討することである。
【方法】対象はHip OA患者147例(平均年齢67[55 - 82]歳、女性126例)とした。TSPは前脛骨筋部へのピンプリック刺激10回の痛み変化量(10回目−1回目)を100 mm VASで評価した。過去の報告を参考に、健常者標準値の平均値+1SD以上をTSP亢進群、それ未満を正常群と分類した。評価項目は、年齢、BMI、罹病期間、Pain Catastrophizing Scale(PCS)、運動時・夜間時痛(100mmVAS)、歩行パラメータである。歩行パラメータは歩行解析機器(ORPHE CORE MEDICAL)を用いて、快適歩行時の歩行周期の変動性、患側の着地衝撃、左右の対称性を測定した。群間比較で有意差を認めた項目のうち、臨床的妥当性および変数間相関を考慮して説明変数に選択し、TSP亢進の有無を目的変数とした多重ロジスティック回帰分析を実施した。
【倫理的配慮、説明と同意】ヘルシンキ宣言に基づき、対象者には研究内容を十分に説明し、同意を得て実施した。
【結果】TSP亢進例は50例(34%)であった。群間比較(中央値[四分位範囲]、正常/亢進群)では、PCS:22[15 - 30]/ 28[18 - 35]点、運動時痛: 50[35 - 66]/61[44 - 79]mm、夜間時痛:25[0 - 50]/ 42[12 -60]mm、着地衝撃:51.1[38.4 - 64.4]/ 64.9[46.8 - 75.4]m/s2に有意差を認めた(P<0.05)。その他の項目には有意差を認めなかった。多重ロジスティック回帰分析の結果、着地衝撃のみがTSP亢進と独立して関連した(オッズ比1.023、95%信頼区間1.004-1.042、p=0.020、Nagelkerke R²=0.23)。
【考察】TSP亢進例では患側の着地衝撃が独立した関連因子として抽出された。変形性股関節症患者では、脚長差や関節変性に伴う股関節求心位保持および関節安定性の低下により、歩行時の衝撃吸収機構が障害されている可能性がある。これらの要因が着地衝撃増大の一因となり、反復する機械的侵害入力がTSP亢進に関与した可能性が考えられた。今後は、関節周囲筋機能の改善や着地時衝撃の軽減を目的とした介入がTSPに与える影響について検証していく。
【方法】対象はHip OA患者147例(平均年齢67[55 - 82]歳、女性126例)とした。TSPは前脛骨筋部へのピンプリック刺激10回の痛み変化量(10回目−1回目)を100 mm VASで評価した。過去の報告を参考に、健常者標準値の平均値+1SD以上をTSP亢進群、それ未満を正常群と分類した。評価項目は、年齢、BMI、罹病期間、Pain Catastrophizing Scale(PCS)、運動時・夜間時痛(100mmVAS)、歩行パラメータである。歩行パラメータは歩行解析機器(ORPHE CORE MEDICAL)を用いて、快適歩行時の歩行周期の変動性、患側の着地衝撃、左右の対称性を測定した。群間比較で有意差を認めた項目のうち、臨床的妥当性および変数間相関を考慮して説明変数に選択し、TSP亢進の有無を目的変数とした多重ロジスティック回帰分析を実施した。
【倫理的配慮、説明と同意】ヘルシンキ宣言に基づき、対象者には研究内容を十分に説明し、同意を得て実施した。
【結果】TSP亢進例は50例(34%)であった。群間比較(中央値[四分位範囲]、正常/亢進群)では、PCS:22[15 - 30]/ 28[18 - 35]点、運動時痛: 50[35 - 66]/61[44 - 79]mm、夜間時痛:25[0 - 50]/ 42[12 -60]mm、着地衝撃:51.1[38.4 - 64.4]/ 64.9[46.8 - 75.4]m/s2に有意差を認めた(P<0.05)。その他の項目には有意差を認めなかった。多重ロジスティック回帰分析の結果、着地衝撃のみがTSP亢進と独立して関連した(オッズ比1.023、95%信頼区間1.004-1.042、p=0.020、Nagelkerke R²=0.23)。
【考察】TSP亢進例では患側の着地衝撃が独立した関連因子として抽出された。変形性股関節症患者では、脚長差や関節変性に伴う股関節求心位保持および関節安定性の低下により、歩行時の衝撃吸収機構が障害されている可能性がある。これらの要因が着地衝撃増大の一因となり、反復する機械的侵害入力がTSP亢進に関与した可能性が考えられた。今後は、関節周囲筋機能の改善や着地時衝撃の軽減を目的とした介入がTSPに与える影響について検証していく。
