講演情報
[9]大腿骨転子部骨折における骨折型と骨形態の関係性について
*塩田 伸也1、藤目 悠己1、谷 栄了1、高井 一志1 (1. 三豊総合病院)
キーワード:
大腿骨転子部骨折、Canal Flare Index、不安定型骨折
【はじめに,目的】
日本の疫学研究(JOS・骨粗鬆症学会)では,転子部骨折は骨密度の影響を最も受ける骨折のひとつとされ,骨量減少が高度なほど粉砕型・不安定型を呈しやすいことが報告されている.大腿骨転子部骨折では骨折型の重症度評価としてJensen分類,骨粗鬆症の重症度評価として近位大腿骨骨梁構造を評価するSingh分類が広く用いられ,大腿骨の髄腔形状を評価する指標としCanal Flare Index(CFI)がある.先行研究で我々は大腿骨転子部骨折患者を対象に骨折型と骨梁構造の関連を検討したが,Singh分類Ⅰ・Ⅱでは安定型・不安定型の割合に差を認めず,高度骨粗鬆例に限定した骨折型と骨形態の関連は明らかでなかった.本研究ではSingh分類Ⅰ・Ⅱの高度骨粗鬆患者に対象を限定し,骨折型と骨形態との関連を検討した.
【方法】
令和4年1月1日から令和7年11月30日までに,大腿骨転子部骨折と診断され当院入院した患者のうち,女性,Singh分類Ⅰ・Ⅱ,かつ受傷機転が転倒であった90例を対象とした. CFIを基にCFI3.0未満を低値群33例(Stove-pipe髄腔),3.0以上を非低値群57例に分け,2群間にて各骨折型との関連性を検討した.除外基準は,反対側股関節骨折の既往および片麻痺など左右差を有する症例とした.骨折の重症度はX線画像評価ではJensen分類を用いtypeⅢ-Ⅴを不安定型とし,CT画像評価には中野3D-CT分類を用い,typeⅠ 3partB-D,4part,typeⅡを不安定型に分類し,一方でも該当すれば不安定型とした.統計解析はR ver 4.5.1を用いてχ²検定を実施し,期待度数が5未満となる場合にはFisherの正確確率検定を用いた.有意水準は5%とした.
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に基づき診療録より後方視的にデータ収集を行い,個人情報保護に十分留意した.
【結果】
CFIとJensen分類の間に有意な関連は認めなかったが,中野3D-CT分類との間には有意な関連を認め,CFI低値群では安定型骨折の割合が高かった(69.7% vs 36.8%,P<0.05).
【考察】
CauleyやJaneらは,低エネルギーによって骨折をきたす可能性がある高度骨粗鬆例では安定型骨折となりやすいと報告している.本研究において,CFI低値ほど安定型骨折の割合が高くこれらの報告を支持する結果となった.一方でKanazawaらが報告しているように転子間領域の局所骨密度(BMD)が不安定型骨折で有意に低値であるとの意見も散見される.本研究で用いたCFIは近位大腿骨の幾何学的形態を評価しており,骨密度を直接反映するものではないため,局所BMDを評価した先行研究との間に差異が生じた可能性があり,CFI低値で不安定型骨折が少ない結果につながった一因であることが示唆された.
日本の疫学研究(JOS・骨粗鬆症学会)では,転子部骨折は骨密度の影響を最も受ける骨折のひとつとされ,骨量減少が高度なほど粉砕型・不安定型を呈しやすいことが報告されている.大腿骨転子部骨折では骨折型の重症度評価としてJensen分類,骨粗鬆症の重症度評価として近位大腿骨骨梁構造を評価するSingh分類が広く用いられ,大腿骨の髄腔形状を評価する指標としCanal Flare Index(CFI)がある.先行研究で我々は大腿骨転子部骨折患者を対象に骨折型と骨梁構造の関連を検討したが,Singh分類Ⅰ・Ⅱでは安定型・不安定型の割合に差を認めず,高度骨粗鬆例に限定した骨折型と骨形態の関連は明らかでなかった.本研究ではSingh分類Ⅰ・Ⅱの高度骨粗鬆患者に対象を限定し,骨折型と骨形態との関連を検討した.
【方法】
令和4年1月1日から令和7年11月30日までに,大腿骨転子部骨折と診断され当院入院した患者のうち,女性,Singh分類Ⅰ・Ⅱ,かつ受傷機転が転倒であった90例を対象とした. CFIを基にCFI3.0未満を低値群33例(Stove-pipe髄腔),3.0以上を非低値群57例に分け,2群間にて各骨折型との関連性を検討した.除外基準は,反対側股関節骨折の既往および片麻痺など左右差を有する症例とした.骨折の重症度はX線画像評価ではJensen分類を用いtypeⅢ-Ⅴを不安定型とし,CT画像評価には中野3D-CT分類を用い,typeⅠ 3partB-D,4part,typeⅡを不安定型に分類し,一方でも該当すれば不安定型とした.統計解析はR ver 4.5.1を用いてχ²検定を実施し,期待度数が5未満となる場合にはFisherの正確確率検定を用いた.有意水準は5%とした.
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に基づき診療録より後方視的にデータ収集を行い,個人情報保護に十分留意した.
【結果】
CFIとJensen分類の間に有意な関連は認めなかったが,中野3D-CT分類との間には有意な関連を認め,CFI低値群では安定型骨折の割合が高かった(69.7% vs 36.8%,P<0.05).
【考察】
CauleyやJaneらは,低エネルギーによって骨折をきたす可能性がある高度骨粗鬆例では安定型骨折となりやすいと報告している.本研究において,CFI低値ほど安定型骨折の割合が高くこれらの報告を支持する結果となった.一方でKanazawaらが報告しているように転子間領域の局所骨密度(BMD)が不安定型骨折で有意に低値であるとの意見も散見される.本研究で用いたCFIは近位大腿骨の幾何学的形態を評価しており,骨密度を直接反映するものではないため,局所BMDを評価した先行研究との間に差異が生じた可能性があり,CFI低値で不安定型骨折が少ない結果につながった一因であることが示唆された.
