講演情報
[10]回復期リハビリテーション病棟における大腿骨転子部骨折患者の退院時歩行自立予測 ―Cognitive-related Behavioral Assessmentを用いた予測モデルの有用性―
*森 拓人1、山本 乃利男2、福田 真也1、中島 由美1 (1. 橋本病院 リハビリテーション部、2. 橋本病院 整形外科)
キーワード:
大腿骨転子部骨折、CBA、歩行予後予測
【はじめに、目的】
大腿骨転子部骨折(以下TF)患者の退院時歩行自立には、年齢、病前歩行能力、認知機能、バランス能力などが関与することが知られている。一方、Cognitive-related Behavioral Assessment(以下CBA)は歩行やADL自立との関連が報告されているが、MMSEと比較した予測指標としての有用性やTF患者を対象とした予測因子モデルでの検討はされていない。今回、回復期リハビリテーション病棟(以下回リハ病棟)に入院したTF患者を対象に、退院時歩行自立予測におけるCBAの付加価値を検証し、MMSEを含む予測モデルとの識別能および臨床的有用性を比較することを目的とした。
【方法】
2018年4月1日~2026年3月31日の期間に当院回リハ病棟に入院した60歳以上のTF患者のうち、対側の股関節近位部骨折、神経疾患・脳血管障害、受傷前に自立歩行が不可能、入院時に自立歩行が可能、保存的治療、データ欠損者を除外基準とした。目的変数は退院時歩行自立可否とし、自立群・非自立群の背景を単変量解析にて比較。多変量予測モデルに用いる説明変数は、先行研究および臨床的妥当性に基づいて、Model 1(年齢+病前歩行能力+BBS+MMSE)、Model 2(年齢+病前歩行能力+BBS+CBA)として構築した。各モデルの識別能はAUCで評価し、continuous NRI、IDI、およびdecision curve analysis(以下DCA)を用いて比較した。統計学的有意水準は5%とした。
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究は当院倫理規定に準じて行い、全て匿名化された既存データで検討を行った。
【結果】
条件を満たした症例は286例で、自立群127例、非自立群159例であった。単変量解析では、年齢、病前歩行形態、AO分類、ALB、BBS、CBA、MMSE、認知FIM、運動FIM、総点数FIMに有意差を認めた。AUC(95%CI)はModel 1で0.89(0.85–0.92)、Model 2で0.90(0.87–0.94)、Brier scoreはそれぞれ0.13、0.12であった。またcontinuous NRIは95% CI(0.14–0.59)、P=0.001であったが、IDIは95% CI(-0.01–0.07)、P=0.15であった。DCAでは、Model 2はModel 1と概ね同等で、一部の閾値範囲でより高いnet benefitを示した。
【考察】
今回TF患者の退院時歩行自立可否の予後予測において、CBAを含むModel 2は数値上最も高い予測性能を示した。また再分類能の改善が示され、DCAではModel 1と概ね同等で、一部の閾値範囲でより高い臨床的有用性を示した。TF患者の歩行予後においては、MMSEよりCBAを用いる事でより臨床的に有効である事が示唆された。
大腿骨転子部骨折(以下TF)患者の退院時歩行自立には、年齢、病前歩行能力、認知機能、バランス能力などが関与することが知られている。一方、Cognitive-related Behavioral Assessment(以下CBA)は歩行やADL自立との関連が報告されているが、MMSEと比較した予測指標としての有用性やTF患者を対象とした予測因子モデルでの検討はされていない。今回、回復期リハビリテーション病棟(以下回リハ病棟)に入院したTF患者を対象に、退院時歩行自立予測におけるCBAの付加価値を検証し、MMSEを含む予測モデルとの識別能および臨床的有用性を比較することを目的とした。
【方法】
2018年4月1日~2026年3月31日の期間に当院回リハ病棟に入院した60歳以上のTF患者のうち、対側の股関節近位部骨折、神経疾患・脳血管障害、受傷前に自立歩行が不可能、入院時に自立歩行が可能、保存的治療、データ欠損者を除外基準とした。目的変数は退院時歩行自立可否とし、自立群・非自立群の背景を単変量解析にて比較。多変量予測モデルに用いる説明変数は、先行研究および臨床的妥当性に基づいて、Model 1(年齢+病前歩行能力+BBS+MMSE)、Model 2(年齢+病前歩行能力+BBS+CBA)として構築した。各モデルの識別能はAUCで評価し、continuous NRI、IDI、およびdecision curve analysis(以下DCA)を用いて比較した。統計学的有意水準は5%とした。
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究は当院倫理規定に準じて行い、全て匿名化された既存データで検討を行った。
【結果】
条件を満たした症例は286例で、自立群127例、非自立群159例であった。単変量解析では、年齢、病前歩行形態、AO分類、ALB、BBS、CBA、MMSE、認知FIM、運動FIM、総点数FIMに有意差を認めた。AUC(95%CI)はModel 1で0.89(0.85–0.92)、Model 2で0.90(0.87–0.94)、Brier scoreはそれぞれ0.13、0.12であった。またcontinuous NRIは95% CI(0.14–0.59)、P=0.001であったが、IDIは95% CI(-0.01–0.07)、P=0.15であった。DCAでは、Model 2はModel 1と概ね同等で、一部の閾値範囲でより高いnet benefitを示した。
【考察】
今回TF患者の退院時歩行自立可否の予後予測において、CBAを含むModel 2は数値上最も高い予測性能を示した。また再分類能の改善が示され、DCAではModel 1と概ね同等で、一部の閾値範囲でより高い臨床的有用性を示した。TF患者の歩行予後においては、MMSEよりCBAを用いる事でより臨床的に有効である事が示唆された。
