講演情報

[23]腰椎椎間板ヘルニア術後患者における同調TENS実施による痺れの軽減が重心動揺・歩行動作に及ぼす即時変化の検証

*越智 豊1、池内 潤1 (1. 田岡病院 リハビリテーション科)

キーワード:

しびれ同調経皮的電気神経刺激、重心動揺、腰椎椎間板ヘルニア

【はじめに, 目的】
 腰椎椎間板ヘルニア(以下, LDH)術後患者は, 手術により疼痛は軽減するものの,痺れや感覚・運動障害が残存しやすい.足底感覚は姿勢制御において重要な役割を担っており, 感覚障害が重心動揺に影響を及ぼすことが報告されている.近年, しびれ同調経皮的電気神経刺激(以下,同調TENS)が痺れの軽減に有効であると報告されているが,同調TENSによる痺れの軽減が重心動揺や歩行機能に及ぼす影響を検討した報告はみられない. そこで本研究では, LDH術後患者における痺れの改善が重心動揺・歩行機能に及ぼす影響の検証を目的とした.
【方法】
 対象は内視鏡下椎間板摘出術(LDH, L4/5)を施行された70歳代女性1例を対象とした. 介入には同調TENS(IVES Pro,OG Wellness社)を使用し, 痺れが生じる右第2・3趾の足底面に電極を貼付した. 介入時間20分間, パルス幅100µs,周波数100~120Hzとし,強度は痺れ感に応じて適宜調整した.痺れはVASで評価した. 重心動揺は床反力計(Wii fit balance board, Nintendo社製)を用いて, 開脚開眼立位30秒間を2回測定し平均値を採用した. 評価項目は, 総軌跡長, 前後軌跡長, 平均速度, 左右・前後座標中心とした. 歩行分析はSPLYZA Motion (SPLYZA社製)にて13周期を解析し,評価項目は歩行速度, 右立脚終期の右足関節最大背屈角度とした. 各評価項目は介入前後で測定した.
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に基づき,当院の倫理委員会の承認を得て実施した.被験者に研究参加に対する自由意志と権利の承認, 個人情報保護について十分に説明し同意を得た.
【結果】
 VAS(mm, 介入前/ 後) は21.0 / 7.0と軽減した. 重心動揺(cm, 平均±標準偏差)は,左右座標中心が-0.9±1.3 / -0.2±0.6 ,前後座標中心-3.0±1.3 / -1.9±0.4.となった.総軌跡長80.5±10.7 / 84.6±6.0,前後軌跡長45.4±5.3/ 46.7±2.9 へ増加した. 平均速度(cm/s)は2.6±0.3/2.8±0.2へと増加した.歩行分析では, 右立脚終期の右足関節背屈可動域(°)が17.1±2.7/18.0±3.6に拡大した.歩行速度(m/s)は0.99±0.05/1.06±0.04となった.
【考察】 
 同調TENSの介入による痺れの軽減に伴い足底からの体性感覚入力の信頼性が向上した結果, 患側足関節戦略が適切に活用可能となり, 重心の偏位が基準点(0)に近づいたと考える. 一方で軌跡長と平均速度の増加は,足部の感覚フィードバックの改善に伴い姿勢を微調整する動作が増加したことを反映している可能性がある.また, 体性感覚情報の改善に伴い足関節ロッカー機能が適切に活用できるようになったことで歩行速度の向上に繋がったと考える.