講演情報
[5]THA術後に歩行時臀部痛および大腿内側部痛を呈した一症例
―股関節求心位での荷重練習および外転筋再教育に着目して―
*田上 俊平1、田仁 皓晴1、田野 聡1、野口 七恵1、柊 直輝1、澁谷 光敬2 (1. 医療法人 橋本病院 リハビリテーション部、2. 徳島文理大学 保健福祉学部 理学療法学科)
キーワード:
THA、トレンデレンブルグ歩行、歩行時疼痛
【はじめに,目的】
人工股関節全置換術(以下THA)後は,股関節外転筋機能低下に伴うトレンデレンブルグ歩行や体幹側屈などの異常歩行が残存することや,この異常歩行は股関節への負荷を増大させ,歩行時疼痛の一因となることが報告されている.今回,歩行時,術側の臀部痛および大腿内側部痛を認めたTHA術後の症例に対し,股関節求心位での荷重練習および外転筋群再教育を中心に介入し,疼痛軽減を認められたため報告する.
【方法】
対象は,術後16日目に当院回復期病棟に入棟した,右一側性形成不全性股関節症に対してTHAを施行した60歳代女性.術後より歩行時の右臀部痛および大腿内側部痛を主訴としていた.歩容は術側立脚期のトレンデレンブルグ徴候,股関節内転・内旋傾向,体幹左側屈,骨盤左下方偏位を認めた.小児期よりペルテス病を有しており,棘果長は,左側と比べ右側に3cmの短縮がみられた.また,右梨状筋に圧痛を認めた.脚長差による骨盤アライメントの変化に加え,股関節外転・外旋筋群の機能低下により股関節求心性が低下し,術側に過度な荷重偏移が生じた結果,股関節後方組織および大腿内側支持機構への局所ストレス増大が疼痛発生に関与したと考えた.介入として,股関節内外旋モビリティによる軟部組織の柔軟性改善,中殿筋・小殿筋を中心とした外転筋群再教育,股関節求心位での荷重練習および歩行再学習を実施した.
【倫理的配慮,説明と同意】
対象者には本報告の趣旨を十分に説明し,書面にて同意を得た.本報告は,当院研究倫理委員会の承認(2026-3)を受けた.
【結果】
21日間の介入の結果,歩行時の股関節内転・内旋位の軽減を認め,立脚期における骨盤安定性向上および体幹左側屈の減少を認めた.歩行時疼痛はNRS6~7→2~3へ軽減した.右膝伸展筋力体重比は右0.24kgf/kg→0.37kgf/kg.10m歩行速度は快適歩行0.78m/s→0.86m/s.JOAスコアは46点→62点となった.HOOSの項目においては,疼痛30.0→75.0,症状25.0→70.0,ADL16.2→72.1,スポーツおよびQOL項目も点数増加を認めた.
【考察】
股関節求心位での荷重練習および外転筋群再教育により,立脚期における股関節安定性の向上と荷重偏移の軽減が得られたことで,後方組織および内転筋群への過負荷が軽減し,疼痛改善につながった可能性が示唆された.一方で,股関節外転筋および体幹筋機能等の定量的評価が十分でなかったこと,歩行観察が中心であった点は本報告の課題である.
人工股関節全置換術(以下THA)後は,股関節外転筋機能低下に伴うトレンデレンブルグ歩行や体幹側屈などの異常歩行が残存することや,この異常歩行は股関節への負荷を増大させ,歩行時疼痛の一因となることが報告されている.今回,歩行時,術側の臀部痛および大腿内側部痛を認めたTHA術後の症例に対し,股関節求心位での荷重練習および外転筋群再教育を中心に介入し,疼痛軽減を認められたため報告する.
【方法】
対象は,術後16日目に当院回復期病棟に入棟した,右一側性形成不全性股関節症に対してTHAを施行した60歳代女性.術後より歩行時の右臀部痛および大腿内側部痛を主訴としていた.歩容は術側立脚期のトレンデレンブルグ徴候,股関節内転・内旋傾向,体幹左側屈,骨盤左下方偏位を認めた.小児期よりペルテス病を有しており,棘果長は,左側と比べ右側に3cmの短縮がみられた.また,右梨状筋に圧痛を認めた.脚長差による骨盤アライメントの変化に加え,股関節外転・外旋筋群の機能低下により股関節求心性が低下し,術側に過度な荷重偏移が生じた結果,股関節後方組織および大腿内側支持機構への局所ストレス増大が疼痛発生に関与したと考えた.介入として,股関節内外旋モビリティによる軟部組織の柔軟性改善,中殿筋・小殿筋を中心とした外転筋群再教育,股関節求心位での荷重練習および歩行再学習を実施した.
【倫理的配慮,説明と同意】
対象者には本報告の趣旨を十分に説明し,書面にて同意を得た.本報告は,当院研究倫理委員会の承認(2026-3)を受けた.
【結果】
21日間の介入の結果,歩行時の股関節内転・内旋位の軽減を認め,立脚期における骨盤安定性向上および体幹左側屈の減少を認めた.歩行時疼痛はNRS6~7→2~3へ軽減した.右膝伸展筋力体重比は右0.24kgf/kg→0.37kgf/kg.10m歩行速度は快適歩行0.78m/s→0.86m/s.JOAスコアは46点→62点となった.HOOSの項目においては,疼痛30.0→75.0,症状25.0→70.0,ADL16.2→72.1,スポーツおよびQOL項目も点数増加を認めた.
【考察】
股関節求心位での荷重練習および外転筋群再教育により,立脚期における股関節安定性の向上と荷重偏移の軽減が得られたことで,後方組織および内転筋群への過負荷が軽減し,疼痛改善につながった可能性が示唆された.一方で,股関節外転筋および体幹筋機能等の定量的評価が十分でなかったこと,歩行観察が中心であった点は本報告の課題である.
