講演情報
[6]人工股関節全置換術後1年における短距離歩行能力および長距離歩行能力に影響する術後3ヶ月因子の検討―前向きコホート研究―
*友成 健1、玉置 康晃2、植村 愛斗1、佐野 亘1,2、泊 綾音1、鎌田 基夢1、杉山 由佳1、近藤 心1、山田 めぐみ1、松浦 哲也1 (1. 徳島大学病院 リハビリテーション部、2. 徳島大学大学院 運動機能外科学分野)
キーワード:
変形性股関節症、人工関節全置換術、長距離歩行能力
【はじめに,目的】
人工股関節全置換術(THA)後の短距離歩行能力は術後1年までに健常高齢者に近い水準まで回復する一方,長距離歩行能力は十分に回復しないことが報告されている.術後3ヶ月は身体機能の回復が進み,機能予後を左右する重要な局面であるが,この時期の身体機能が術後1年の歩行能力にどのように関与するかは明らかではない.本研究の目的は,THA後3ヶ月の身体機能評価を用いて,術後1年の短距離歩行能力および長距離歩行能力の関連因子を明らかにすることである.
【方法】
本研究は前向きコホート研究である.対象は,2016年4月から2025年1月に当院に変形性股関節症(股OA)の診断で入院し,仰臥位前外側アプローチによる初回片側THAが施行され術後1年が経過した271例とした.除外基準は男性,腰部脊柱管狭窄症例,循環器・呼吸器疾患症例,脳血管疾患症例,データ欠損例とした.短距離歩行能力は10m通常歩行速度(10MWT)を測定し,長距離歩行能力は6分間歩行距離(6MWD)を測定した.統計解析は,モデル①として,従属変数を術後1年の10MWT,独立変数を術後3ヶ月因子(年齢,BMI,歩行時痛,反対側OAの有無,健側・術側股関節外転筋力,健側・術側股関節屈曲・伸展可動域,3ヶ月時10MWT,帰結[転院vs自宅退院or通院])とした.モデル②として,従属変数を術後1年の6MWD,独立変数を術後3ヶ月因子(年齢,BMI,歩行時痛,反対側OAの有無,健側・術側股関節外転筋力,健側・術側股関節屈曲・伸展可動域,3ヶ月時6MWD,帰結[転院vs自宅退院or通院])とした.統計解析は重回帰分析を用いて多変量解析を行った.統計処理にはEZRver1.70を用い,有意水準は5%とした.
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究は,徳島大学病院倫理委員会(承認番号:第2620号)の承認を得た.
【結果】
最終的な対象者は143例であった.重回帰分析の結果,術後1年の10MWTに関連する有意な3ヶ月因子は,年齢(B=-0.003),術側外転筋力(B=0.235),3ヶ月時10MWT(B=0.534)であった(p<0.001,R2=0.60).術後1年の6MWDに関連する有意な3ヶ月因子は、術側外転筋力(B=158.6)、健側外転筋力(B=-104.1)、術側股関節伸展可動域(B=3.151)、帰結(自宅退院B=-30.7),3ヶ月時6MWD(B=0.651)であった(p<0.001,R2=0.74).
【考察】
THA後1年の短距離歩行能力は年齢および術側外転筋力の影響を受ける一方,長距離歩行能力には術側外転筋力に加え,健側外転筋力および術側股関節伸展可動域が関連していた.これらの結果から,長距離歩行能力の獲得には術後の理学療法において,手術側のみならず両側股関節機能への介入が重要である可能性が示唆された.
人工股関節全置換術(THA)後の短距離歩行能力は術後1年までに健常高齢者に近い水準まで回復する一方,長距離歩行能力は十分に回復しないことが報告されている.術後3ヶ月は身体機能の回復が進み,機能予後を左右する重要な局面であるが,この時期の身体機能が術後1年の歩行能力にどのように関与するかは明らかではない.本研究の目的は,THA後3ヶ月の身体機能評価を用いて,術後1年の短距離歩行能力および長距離歩行能力の関連因子を明らかにすることである.
【方法】
本研究は前向きコホート研究である.対象は,2016年4月から2025年1月に当院に変形性股関節症(股OA)の診断で入院し,仰臥位前外側アプローチによる初回片側THAが施行され術後1年が経過した271例とした.除外基準は男性,腰部脊柱管狭窄症例,循環器・呼吸器疾患症例,脳血管疾患症例,データ欠損例とした.短距離歩行能力は10m通常歩行速度(10MWT)を測定し,長距離歩行能力は6分間歩行距離(6MWD)を測定した.統計解析は,モデル①として,従属変数を術後1年の10MWT,独立変数を術後3ヶ月因子(年齢,BMI,歩行時痛,反対側OAの有無,健側・術側股関節外転筋力,健側・術側股関節屈曲・伸展可動域,3ヶ月時10MWT,帰結[転院vs自宅退院or通院])とした.モデル②として,従属変数を術後1年の6MWD,独立変数を術後3ヶ月因子(年齢,BMI,歩行時痛,反対側OAの有無,健側・術側股関節外転筋力,健側・術側股関節屈曲・伸展可動域,3ヶ月時6MWD,帰結[転院vs自宅退院or通院])とした.統計解析は重回帰分析を用いて多変量解析を行った.統計処理にはEZRver1.70を用い,有意水準は5%とした.
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究は,徳島大学病院倫理委員会(承認番号:第2620号)の承認を得た.
【結果】
最終的な対象者は143例であった.重回帰分析の結果,術後1年の10MWTに関連する有意な3ヶ月因子は,年齢(B=-0.003),術側外転筋力(B=0.235),3ヶ月時10MWT(B=0.534)であった(p<0.001,R2=0.60).術後1年の6MWDに関連する有意な3ヶ月因子は、術側外転筋力(B=158.6)、健側外転筋力(B=-104.1)、術側股関節伸展可動域(B=3.151)、帰結(自宅退院B=-30.7),3ヶ月時6MWD(B=0.651)であった(p<0.001,R2=0.74).
【考察】
THA後1年の短距離歩行能力は年齢および術側外転筋力の影響を受ける一方,長距離歩行能力には術側外転筋力に加え,健側外転筋力および術側股関節伸展可動域が関連していた.これらの結果から,長距離歩行能力の獲得には術後の理学療法において,手術側のみならず両側股関節機能への介入が重要である可能性が示唆された.
