講演情報

[59]専門資格取得者の増員が急性期の心不全患者のADL改善効率に及ぼす影響

*髙井 健次1、出口 憲市1、田村 靖明1、伊井 孝志2、金澤 佳弘1、石川 友佳里1、山﨑 宙3、根岸 佑典3、折野 逸人3 (1. 徳島県鳴門病院 リハビリテーション技術科、2. 香川大学医学部付属病院 リハビリテーション科、3. 徳島県鳴門病院 循環器内科)

キーワード:

心不全、ADL、急性期

【目的】心不全は増悪と寛解を繰り返しながら身体機能が低下する慢性進行性疾患である.また,先行研究では,低栄養やフレイル,ADL低下が予後に影響すると報告されており,予後改善や再入院予防には包括的心臓リハビリテーションが重要である.一方,急性期病院では在院日数短縮とADL向上の両立が求められるが,専門資格の取得者がリハビリのアウトカムへ与える影響については,十分に明らかにされていない.そこで本研究は,当院が育成した心臓リハビリテーション指導士の増員が心不全患者のADL改善効率に及ぼす影響を検討した.【方法】対象者は,2018年4月から2025年3月の間に入院した心不全患者678名とした.有資格者数が1名であった期間を前期群 (111名,年齢: 82.1 ± 9.7歳),複数名へ増員された期間を後期群 (105名,年齢: 82.1 ± 11.1歳) として比較した.介入時期によるBarthel Index (BI) の改善要因を検討するため,BI効率 (BI改善量÷在院日数) を従属変数とし,年齢, 入院時BNP,総単位数,平均単位数,入院時BIを説明変数として重回帰分析を行った.統計処理はSPSSver24.0を使用して,有意水準はp<0.05とした.【倫理的配慮,説明と同意】本研究は単施設後方視的観察研究であり,徳島県鳴門病院倫理審査委員会の承認を得て実施した (承認番号: 2025-12).また,研究の倫理指針を準拠しており,診療録から得られた既存情報を匿名化後に解析した.なお,対象者にはオプトアウトの機会を保障した.【結果】前期群は年齢 (β = -0.218, p = 0.034),総単位数 (β= -0.420, p < 0.001),平均単位数 (β = 0.225, p = 0.021)および入院時BI (β = -0.563, p < 0.001) であり,後期群は年齢 (β = -0.285, p < 0.001),総単位数 (β = -0.359, p < 0.001),平均単位数 (β = 0.331, p < 0.001) および入院時BI (β = -0.374, p < 0.001) が独立因子として抽出された.【考察】本研究の重要な点として,前期群および後期群ともに入院時BIが,独立因子で最も高い値であり,天井効果が示されたが,総単位数および平均単位数では傾向が異なっていた点である.有資格者が増員した後期群では,平均単位の影響度が増大しており, 1日の集中的なリハビリ介入が可能になり,ADL改善に寄与した可能性が示唆された.