講演情報

[78]通所リハビリテーション利用者におけるTimed Up and Go Testと筋機能指標との関連:後ろ向き横断研究

*福池 陽夏太1、四宮 涼太1、中田 真司1、岩野 巧1 (1. 徳島健生病院 リハビリテーション科)

キーワード:

通所リハビリテーション、移動能力、筋機能

【はじめに,目的】Timed Up and Go Test(TUG)は移動能力や動的バランス能力を反映する指標であり,TUG時間の延長は転倒リスクの増加やADLの低下と関連する。近年,サルコペニアの概念の普及に伴い,筋力や骨格筋量を包括的に評価する重要性が示されているが,要支援および要介護者を対象としてTUGと筋機能指標との関連を検討した報告は少ない。本研究の目的は,通所リハビリテーション利用者のTUGと筋機能指標との関連を明らかにし,移動能力に関する評価および理学療法介入を検討する際の基礎的知見を得ることである。
【方法】研究デザインは後ろ向き横断研究である。対象は,当院の通所リハビリテーションを利用している40名(男性:16名,女性:24名,年齢中央値84歳)とし,歩行に身体的介助を要するもの(Functional Ambulation Categories:2以下)は除外した。データ収集項目は,TUG,30秒椅子立ち上がりテスト(CS-30),握力,四肢骨格筋指数(SMI),位相角(PhA)とした。なお,握力は左右各2回測定し,各側の最大値のうち高い値を解析に用いた。SMI,PhAの測定にはInBody S10を使用した。統計解析は,Spearmanの順位相関係数を適応した。さらに,目的変数をTUGとした重回帰分析を行った。重回帰分析のモデル1では,説明変数をCS-30,握力,SMI,PhAとし,モデル2と3ではモデル1に年齢と性別を加えて解析を行った。全ての解析にはEZR ver 1.70を用い,有意水準は5%とした。
【倫理的配慮,説明と同意】本研究は徳島健生病院倫理委員会の承認(2025-倫-09)を受けて実施した。対象者には研究内容を院内掲示にて公開し,オプトアウトの機会を設けた。
【結果】TUGは握力(r = -0.361,p = 0.022),CS-30(r = -0.587,p < 0.001)PhA(r = -0.429, p = 0.006)と有意な負の相関を認め,SMIは有意な相関を認めなかった。重回帰分析ではモデル1において,調整済みR2= 0.2299であり,CS-30がTUGに独立して関連した(B =-1.061 ,p =0.003 )。モデル2(B = -1.072,p = 0.003),モデル3(B =-1.042 ,p = 0.004)においても同様にCS-30が独立して関連した。
【考察】通所リハビリテーション利用者のTUGにおいて,単相関分析では握力,CS-30およびPhAが有意に関連したが,骨格筋量,筋質および筋力指標を同時に投入した重回帰分析では,いずれのモデルにおいてもCS-30のみが有意に関連した。CS-30は特別な機器を必要とせず簡便に実施できるため,通所リハビリテーション利用者の移動能力に関する評価および理学療法介入を検討する際の参考指標となる可能性がある。