講演情報

[PS-04]新潟大学と八海醸造株式会社の産学連携による国際共修の新たな試み

*蒙 韞1、*小野 佳子2、*斎藤 清人3 (1. 新潟大学グローバル推進機構 国際交流センター、2. 新潟大学日本酒学センター、3. 八海醸造株式会社 営業本部 海外営業部 海外営業課)
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産学連携による国際共修

ウィズコロナ・ポストコロナの時代、地域や大学の国際化、さらに国内外の学生の接点として、日本人学生と外国人留学生による国際共修の重要性が増している。末松ほか(2019:ⅲ)は、国際共修を「言語や文化の異なる学習者同士が、意味ある交流(Meaningful Interaction)を通して、他者への理解を深めながら、己を見つめなおすメタ認知活動を経て、新しい価値観を創造する学習体験」と定義している。一方、坂本ほか(2017:126)では、「日本における国際共修はまだ歴史も浅く、理論に基づいた体系だった教授法が確立されているとはいいがたい。授業のテーマ設定、教材選択、指導言語、教育介入の形態や頻度、効果的なグループ学習の導入、課題、評価方法のみならず、学生の主体性や自発性を奨励する環境づくりなど、学生間の交流を学びにつなげるための仕掛けづくりをより深く掘り下げ研究する必要がある」と指摘されている。また、管見の限り、国内の地方国立大学内の異なる二つ以上の部局が連携し、さらに外部企業と産学連携を実現できた国際共修の実践や研究はまだ十分とは言えない。そこで、本実践では、まず新潟大学の二部局(国際交流センターおよび日本酒学センター)が連携し、さらに八海醸造株式会社と産学連携を実現した、「内なる国際化」(Hunter 2020)に関する国際共修を通してどのような教育効果や地域社会への貢献が得られるのかを取り上げる。具体的には国境と地域を越えたグローバル人材育成を視野に、日本酒のグローバル展開と地域活性化・雪国文化の世界発信に関するレクチャーとワークショップ、フィールドワークを通して、学生がどのような学び合いや協働プロセスを経て地元企業・地域経済のグローバル化や活性化課題について議論し、解決策を提案するのかを分析し、その教育効果・意義や地域社会への貢献を探る。
 本実践は、新潟大学「国際共修:グローバル社会におけるビジネス・コミュニケーションB」(履修生37名)の授業の一環として、2024年12月にレクチャーとワークショップ2回とフィールドワーク1回の計3回を日本語と英語で実施した。参加学生は日本人学生と外国人留学生からなり、多国籍であった。本実践後、学生がどのような学び合いや協働プロセスを経て地元企業・地域経済のグローバル化や活性化課題について議論し、解決策を提案したのかを、学生のグループワークシート及び振り返りシートにより分析した。その結果、この産学連携の教育方法が学生の社会問題発見・解決・提案能力の養成や地域社会への貢献において一定の効果があることが示唆された。
〈引用文献〉
1.Fiona Hunter (2020) Building a Stronger Future for Internationalization: From Reflection to Action, 基調講演「新型コロナ禍と国際教育の将来像」,SIIEJ 2020
2.坂本利子・堀江未来・米澤由香子(2017)『多文化間共修:多様な文化背景をもつ大学生の学び合いを支援する』学文社
3.末松和子・秋庭裕子・米澤由香子(2019)『国際共修:文化的多様性を生かした授業実践へのアプローチ』東信堂