講演情報

[PS-03]短期日本留学プログラム:地域・大学の特徴による防災教育プログラム構築

*徐 乃馨1 (1. 静岡大学)

キーワード:

防災教育、短期受入プログラム、フィールドワーク学習、異文化理解、地域交流

受講者に求められる 事前の知識・経験等
なし

受講者が受講前に取り組む 事前課題等
なし

概要
本報告は、静岡大学がインドネシアの大学生へ防災をテーマとした短期教育プログラムを提供し、そこから得られた知見を共有するものである。この9日間のプログラムは英語で行い、インドネシアの大学生32名、本学学生11名(TA)で構成された。本プログラムの特徴は三点に整理できる。第一に、防災に関する学問的知識のみならず、その背景にある日本社会の文化・価値観を理解し、防災を包括的に学ぶ点である。第二に、講義中心の受動的学習ではなく、フィールドワークや調査活動を通じた能動的学びを重視した点である。第三に、防災教育を紙芝居で行う方法論を教授し情報発信力の育成を図った点である。
 地方国立大学である静岡大学の課題は対外的な評価向上の為の短期受入プログラムの開発、それによる日本人学生への異文化教育体験の提供であった。静岡県、本学の特徴を考えるに、地元住民の防災意識の高さ、学内での防災教育メソッドの先端的な研究・実践があり、それを学びの材料として提供することとした。また短期留学生に防災のグッドプラクティスを提示するだけでなく、県民の防災意識について学生が住民にアンケート調査や交流を行い直接的にかつ包括的に防災を学ばせることを目的としたプログラム設計を行った。さらに地方国立大学のミッションである地域の多文化化への貢献も踏まえ、高校生から高齢者まで幅広い教育交流機会も含めた。
 参加者アンケートでは特にフィールドワークや現地体験の充実、静岡県地震防災センターの訪問、シニアボランティアや地元高校生との交流などが高い満足度を得た。また、日本文化や価値観への理解の深化、新しい友人や地域の人々との交流、多様な活動を通じた学びの広がりも高く評価された。
 今回の経験により将来の静岡大学受入プログラム企画運営への幾つかの示唆を得ることができた。静岡県内における公共交通機関のキャパシティ、大都会にはない移動の制限や宗教食の提供の難しさについての課題は実際のプログラム試行によって、今後のプログラム設計の参考となった。また、派遣大学との「体験→考察→次につなげる」という学習サイクルの理念や方法論の共有と深化は、本学の短期受入プログラムをこれまでの知識学習または表層的な文化体験プログラムと一線を画すものとするには重要であると思われる。また、今回は防災や防災教育をテーマとしたが、まだ大学内に静岡大学のプログラムとして特徴づけられ、海外の学生が興味を持つテーマを教育・研究している教員が多数在籍していると思われる。このような「お宝」の発掘も重要な課題であると感じた。
 本報告では、地方国立大学である静岡大学の地域と大学の特徴を活かした防災教育プログラムの実践を通じて得られた成果と課題を整理し、今後の大学や地域の特徴を活かした国際教育プログラム設計に向けた示唆を提示したい。