講演情報
[PS-04]工学系学生の海外インターンを通じたトランスファラブルスキルの向上:異文化での実務経験がもたらす学修成果の分析
*倉光 里沙1、江﨑 将人1、蒲原 弘継1 (1. 国立大学法人豊橋技術科学大学)
キーワード:
海外インターンシップ、グローバル人材、産学連携教育、キャリア教育、高専・工学系人材
受講者に求められる 事前の知識・経験等
なし
受講者が受講前に取り組む 事前課題等
なし
概要
【背景・目的】
少子高齢化と労働力不足に直面する日本社会において、多国籍チームを牽引できるグローバル人材の育成は喫緊の課題である。豊橋技術科学大学では、実践的な能力を有するエンジニア育成を目的として、学部4年次に約2ヶ月間の「実務訓練(インターンシップ)」を必修化している。本研究では、工学系の高専出身者が多くを占める本学の特性を踏まえ、海外企業での実務訓練を通じて学生がどのような学修成果を得ているかを明らかにすることを目的とした。
【評価指標について】
「トランスファラブルスキル」とは、特定の専門分野に限らず通用する汎用的スキルを指す。本研究では、全国の高等専門学校で用いられている学習到達目標「モデルコアカリキュラム(MCC)」の分野横断的能力をベースに評価指標を設定した。MCCでは、行動や実践を通して発揮される「汎用的技能(コミュニケーション、課題発見力など)」、判断や行動の基盤となる「態度・志向性(主体性、キャリアデザイン力など)」、習得した知識を問題解決に活かす「創造性・デザイン能力(エンジニアリングデザインなど)」の3分野・16項目が定義されている。本研究ではこれを評価指標とし、各項目を6段階の評価基準(ルーブリック)で測定した。
【分析手法】
2024年度および2025年度の実務訓練参加学生(国内派遣・海外派遣)を対象に、実務訓練前後のトランスファラブルスキルの自己評価と、派遣先機関からの客観評価を比較分析した。また、学生が提出した振り返りレポートを対象にKJ法を用いたテキスト分析を実施し、学びのプロセスや言語的・文化的障壁への適応プロセスを定性的に分析した。
【結果・考察】
実務訓練を通じて、国内企業に派遣された学生は「主体性」や「自己管理力」など「態度・志向性」に関する基本的な姿勢を身につける傾向があったのに対し、海外企業に派遣された学生は企業からより実践的なスキルが求められ「コミュニケーションスキル」「課題発見力」といった「汎用的技能」が大きく成長していた。
定性的な分析からは、専門知識や技術力はあるが語学力やコミュニケーションに課題を抱えやすい工学系学生が、「言語の壁」と海外企業からの「高い実務的要求」という二重の負荷に直面している状況が確認できた。学生はこの壁を乗り越えるため、図解、3D CAD、プロトタイプ作成といった工学系ならではの「技術的な表現力」を駆使し、多国籍チームにおけるコミュニケーション能力を実践的に発揮していた。
【結論】
本研究の結果、海外企業に派遣された学生は、海外実務訓練を通じて工学系学生ならではの技術的専門性を基盤に「技術的な表現力」を用いて多国籍チームでのコラボレーションやイノベーション創出に必要となる汎用的技能を向上させていた。本発表では、データに基づく一連の分析結果を基にグローバルに活躍できるエンジニア育成に向けた国際教育のモデルとしての可能性を提示する。
なし
受講者が受講前に取り組む 事前課題等
なし
概要
【背景・目的】
少子高齢化と労働力不足に直面する日本社会において、多国籍チームを牽引できるグローバル人材の育成は喫緊の課題である。豊橋技術科学大学では、実践的な能力を有するエンジニア育成を目的として、学部4年次に約2ヶ月間の「実務訓練(インターンシップ)」を必修化している。本研究では、工学系の高専出身者が多くを占める本学の特性を踏まえ、海外企業での実務訓練を通じて学生がどのような学修成果を得ているかを明らかにすることを目的とした。
【評価指標について】
「トランスファラブルスキル」とは、特定の専門分野に限らず通用する汎用的スキルを指す。本研究では、全国の高等専門学校で用いられている学習到達目標「モデルコアカリキュラム(MCC)」の分野横断的能力をベースに評価指標を設定した。MCCでは、行動や実践を通して発揮される「汎用的技能(コミュニケーション、課題発見力など)」、判断や行動の基盤となる「態度・志向性(主体性、キャリアデザイン力など)」、習得した知識を問題解決に活かす「創造性・デザイン能力(エンジニアリングデザインなど)」の3分野・16項目が定義されている。本研究ではこれを評価指標とし、各項目を6段階の評価基準(ルーブリック)で測定した。
【分析手法】
2024年度および2025年度の実務訓練参加学生(国内派遣・海外派遣)を対象に、実務訓練前後のトランスファラブルスキルの自己評価と、派遣先機関からの客観評価を比較分析した。また、学生が提出した振り返りレポートを対象にKJ法を用いたテキスト分析を実施し、学びのプロセスや言語的・文化的障壁への適応プロセスを定性的に分析した。
【結果・考察】
実務訓練を通じて、国内企業に派遣された学生は「主体性」や「自己管理力」など「態度・志向性」に関する基本的な姿勢を身につける傾向があったのに対し、海外企業に派遣された学生は企業からより実践的なスキルが求められ「コミュニケーションスキル」「課題発見力」といった「汎用的技能」が大きく成長していた。
定性的な分析からは、専門知識や技術力はあるが語学力やコミュニケーションに課題を抱えやすい工学系学生が、「言語の壁」と海外企業からの「高い実務的要求」という二重の負荷に直面している状況が確認できた。学生はこの壁を乗り越えるため、図解、3D CAD、プロトタイプ作成といった工学系ならではの「技術的な表現力」を駆使し、多国籍チームにおけるコミュニケーション能力を実践的に発揮していた。
【結論】
本研究の結果、海外企業に派遣された学生は、海外実務訓練を通じて工学系学生ならではの技術的専門性を基盤に「技術的な表現力」を用いて多国籍チームでのコラボレーションやイノベーション創出に必要となる汎用的技能を向上させていた。本発表では、データに基づく一連の分析結果を基にグローバルに活躍できるエンジニア育成に向けた国際教育のモデルとしての可能性を提示する。
