講演情報

[B-15-01]DS-TWR 通信波流用型の分散受動レーダーシステムの提案と有効性の検証

◎岡﨑 竜也1、古賀 健一1、永尾 文弥1、猿渡 俊介2 (1. 東海理化、2. 阪大)

キーワード:

UWB(超広帯域無線)、分散受動レーダー、DS-TWR、無線同期、センシング・通信融合(ISAC)、位相補償

車載デジタルキー等UWBデバイスの普及に伴い,既存の通信インフラとUWBレーダーを融合する技術が注目されている.しかし,自ら電波を発する従来のアクティブ型センシングは,通信スケジュールへのレーダー専用スロット追加などの規格改変を伴うため,既存インフラへのシームレスな統合が困難である.

本稿では,既存規格を維持したまま両者を融合させる「DS-TWR通信波流用型の分散受動レーダーシステム」を提案する.本システムは,UWB標準測距通信規格(DS-TWR)の正規の通信波が標的に反射した信号を,自らは電波を発しない第三のノードが受動的に観測する.これにより,既存の通信タスクに干渉や遅延を与えずにレーダー網の重畳を可能とする.

本システムの成立には複数ノード間の高度な同期が必要となる.しかし,独立発振器を用いたシステム構築を前提とした場合,各ノードの時刻オフセット,クロック進行率の差異,およびキャリア周波数オフセット(CFO)等に起因する非同期問題によってコヒーレント積分が破綻するという課題がある.これを解決するため,DS-TWRの送受信タイムスタンプを用いた時間補正(Fast-time同期)と,通信波の観測位相に基づくハードウェア位相誤差の補償(Slow-time同期)を組み合わせた独自の無線同期手法を考案した.

民生用UWBデバイスを模し,ハードウェア誤差を付与したシミュレーションによる検証の結果,提案手法により時間・位相ズレが補償され,Range-Velocityマップ上で標的の真値に明瞭なピークが現れることを確認した.これにより,完全な無線環境下においても有線同期と同等の検知性能を発揮し得ることが実証された.