ご挨拶
謹啓 皆様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
この度、第4回和温療法学会学術集会を福岡大学病院 福大メディカルホール(福岡市)にて、2025年11月2日(日)、テーマ「和温療法:診て識る あたたかい医療」にて開催させていただく運びとなりました。
和温療法は、非薬物的かつ非侵襲的な治療法であり、患者の心身に寄り添う「和み」と「温もり」を基盤とする画期的な療法です。 現在、日本をはじめとする欧米先進国においては、臓器別診療が高度に発展し、疾病の専門分化が進んでいます。そのような中、和温療法は、全身の血管内皮から一酸化窒素(NO)の産生を促し、血管拡張を通じて各臓器の機能を向上させるとともに、個々の臓器の枠を超えた包括的かつ全人的な回復をもたらす治療法として注目されています。既に確立された臓器別診療と併用することで、さらなる相乗効果が期待されます。
2020年4月、和温療法は重症心不全に対する標準的治療法として新たに保険収載されました。心不全のみならず、数々の難治性疾患に対してもその有効性が確認されており、今後、多施設無作為比較臨床試験などを通じてさらなる科学的根拠(エビデンス)を蓄積し、保険適用の拡充を図ることが本学会の重要な使命であります。
当面の取り組みとして、運動療法の実施が困難な患者に対し、心大血管疾患、脳神経障害、呼吸器疾患、運動器疾患といった各種疾患別リハビリテーションの認定施設において、和温療法の推進が望まれます。さらに、高齢者医療におけるフレイル対策や認知症への有効性を解明することも重要な課題の一つです。今後、医療者は知恵を出し合い、その課題解決に向けた成果を学術集会などで発表し、情報を発信していかねばなりません。皆様と一緒に最良の方法を考えていきたいと思っております。
是非とも、和温療法の積極的な活用ができますように、多くの皆様にご参加いただければ幸いです。
敬具
第4回和温療法学会学術集会 会長 三浦 伸一郎 (福岡大学病院 病院長) |