講演情報
[O14-3]当院の周産期医療におけるChromosome microarray(CMA)検査の利用状況
○山下 有加, 松岡 隆, 和泉 美希子, 廣瀬 達子, 瀧田 寛子, 新垣 達也, 徳中 真由美, 濱田 尚子, 宮上 景子, 小出 馨子, 白土 なほ子, 関沢 明彦 (昭和大学医学部産婦人科学講座)
【背景】日本産科婦人科学会周産期委員会は2021年6月に、出生前検査における染色体マイクロアレイ(Chromosomal microarray: CMA)の利用上の留意点」を発出し、胎児が形態異常や遺伝学的なリスクをもつ場合の原因検索、子宮内胎児死亡や流死産の原因検索で児の遺伝学的検査を行う場合にCMAの利用を考慮することを提言している。今回当院におけるCMA施行状況を調査した。【方法】2018年7月から2022年4月までの期間に当院にてCMAを実施した症例を対象とし、患者背景、検査理由、臨床経過に関して、診療録を用いて後方視的に調査した。なお当院のCMAはSingle nucleotide polymorphism: SNPを同時に検出する SNP アレイ法を行なっている。本研究は当院倫理委員会の承認を得ている。【結果】調査期間中にCMA施行は24例あった。患者年齢の中央値は36歳(25-52)、67%が初産婦であった。検査理由は、本人希望が1例、前児異常が3例、胎児形態異常が12例、NIPT後2例(判定保留、他院で実施されたNIPT陽性例)、流産後原因検索が6例であった。検査結果で疾患確定において有意な結果であったのは、胎児異常の12例中4例、流死産症例6例中4例であった。胎児異常、流死産症例18例のうち、G bandの培養不成功によりCMAを追加し、7例で確定診断に至ったが、全体の11例(61.1%)で原因は不明であった。有意な結果が得られた症例ではその情報を踏まえた遺伝カウンセリング(GC)が行われ、原因判明による患者の理解、次妊娠への不安軽減につながったと思われた。原因が不明な症例では反復した超音波評価やGCなどでの多面的なフォローを要した。【結論】胎児異常や流死産の症例において結果が得やすいという点でCMAの検査意義が示された一方で原因特定にいたらないことも過半数であった。また、CNVなどの解釈や説明にはupdateなデータベースを用いた情報提供が必要であることから、さらなる経験と知見の蓄積が求められる。