講演情報

[O16-4]86名のメチル化異常を有する偽性副甲状腺機能低下症におけるメチル化パターンと臨床像の検討

浦川 立貴1,2, 成澤 宏宗1, 佐野 伸一朗3, 川嶋 明香1,4, 中村 明枝1,5, 緒方 勤6, 深見 真紀1, 鏡 雅代1 (1.国立成育医療研究センター 分子内分泌研究部, 2.長崎大学 小児科, 3.静岡県立こども病院 糖尿病代謝内科, 4.東北大学病院 小児科, 5.北海道大学医学部小児科, 6.浜松医科大学小児科)
【背景】PTH抵抗性を特徴とする偽性副甲状腺機能低下症 (PHP) は、Albright遺伝性骨異形成症 (AHO) を高頻度に合併するType 1aとAHO徴候を合併しない、もしくは一部を合併するType 1b (PHP1b) に分類される。PHP1bはGNASメチル化可変領域 (DMR) 内のNESP-DMRの高メチル化、AS-DMR、XL-DMR、A/B-DMRの低メチル化を示すSporadic-PHP1bと、母アレルSTX16欠失とAB-DMRのみの低メチル化を示す常染色体顕性 (AD)-PHP1bとに大別される。近年、Sporadic-PHP1bとAD-PHP1bのどちらのDMRメチル化異常パターンにも当てはまらない非典型的なPHP1bが報告されている。【目的】PHP1bにおけるメチル化異常パターンと臨床像との関連を明らかにする。【方法】2013年から2021年までに臨床的にPHPと診断され、GNAS領域内のDMRメチル化異常が同定された86名を対象とした。DMRメチル化異常パターンに基づきAD-PHP1b群 (グループ1:G1)、Sporadic-PHP1b群 (G2)、非典型群 (G3) に分類し臨床像を比較した。【結果】各群の内訳はG1: 29名 (16家系)、G2: 44名 (UPD(20)pat 2名)、G3: 13名 (9家系) であった。発端者の診断時年齢の中央値はそれぞれ13歳、9歳、14歳であった。診断時Ca値 (mg/dL) は6.2、6.6、6.2で、iPTH 値 (pg/mL) は403、318、260であった。けいれんや意識消失といった重度の低Ca症状が発端者の診断契機となったのは、それぞれ33.3%、51.2%、42.9%であった。2つ以上のAHO徴候を認めた症例は、それぞれ16.0%、32.6%、20.0%であった。また、AB-DMRのCpGsメチル化比率は3群で同等であった。【考察】G2では発端者の診断時年齢が低く、AHO徴候のなかで丸顔顔貌と発達遅滞をG1より有意に多く認めた。G1において、CaやiPTH値の異常が重度でありながら、けいれんや意識消失が少ないことは、PTH抵抗性が非常に緩やかに進行したと推測された。【結語】PHP1bにおけるDMRメチル化異常パターンと臨床像の関連を明らかにした。