講演情報
[O18-5]遺伝性網膜ジストロフィにおける網羅的遺伝子解析の臨床的有用性
○浦川 優作1,2,3, 吉田 晶子1,4,5, 河合 加奈子1, 稲葉 慧1,5, 横田 聡1,6, 平見 恭彦1,6, 高橋 政代1, 栗本 康夫1,6, 前田 亜希子1 (1.神戸市立神戸アイセンター病院, 2.神戸市立医療センター中央市民病院 腫瘍内科, 3.岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 臨床遺伝子医療学, 4.京都大学大学院医学研究科 ゲノム医療学, 5.京都大学医学部附属病院 遺伝子診療部, 6.神戸市立医療センター中央市民病院 眼科)
【目的】遺伝性網膜ジストロフィは網膜色素変性を代表とする進行性の網膜変性疾患である。単一遺伝子疾患であるが、原因遺伝子として既に約60種類が報告され類縁疾患を含めると250以上の遺伝子が報告されている。原因遺伝子により予後や病像だけでなく遺伝形式も異なるため,遺伝学的検査は遺伝カウンセリングやロービジョンケアにおいて重要なものとなっている。そこで,本邦における原因遺伝子頻度や予後・病像などの臨床的知見を蓄積することを目的に,50遺伝子のパネル検査を実施した。
【方法】2018年9月から2021年9月までに遺伝性網膜ジストロフィの診断を受け遺伝カウンセリングを受診した患者を対象に遺伝子解析の同意を取得した。解析対象遺伝子は本邦おける原因遺伝子として頻度が高いと報告されているものや,遺伝子特異的治療が開発中であるものを含め50遺伝子とし,NGSにて解析を行なった。
【結果】解析対象者は531例(男性266名,女性265名,来談時平均年齢51.8±14.8歳)。531例中297例(55.9%)で原因遺伝子が同定された。原因遺伝子として同定された中で最も頻度が高かったのはEYSで105例(35.2%)であった。次いでUSH2Aが27例(9.1%),RPGRが16例(5.4%),CYP4V2が15例(5.0%),RP1が14例(4.7%),RHO,CHM,PRPH2,PRPF31がそれぞれ13例(4.4%)であった。同定された遺伝子の遺伝形式は,ARが210例(70.7%),ADが50例(16.8%),XLが37例(12.5%)であった。
【考察】今回解析した50遺伝子では同定率が50%を超えており,眼科診療や遺伝カウンセリングにおいて一定の臨床的有用性があることが示された。一方,NGSの解析では検査の限界があることも明らかになった。例えばNGSを用いたパネル検査はCNVの解析には不向きであること,RPGRではNGSで解析困難な領域が存在することなどが挙げられた。また,過去に報告のないバリアントも多数検出されており,一定の質を担保したバリアントの解釈が今後の課題である。
【方法】2018年9月から2021年9月までに遺伝性網膜ジストロフィの診断を受け遺伝カウンセリングを受診した患者を対象に遺伝子解析の同意を取得した。解析対象遺伝子は本邦おける原因遺伝子として頻度が高いと報告されているものや,遺伝子特異的治療が開発中であるものを含め50遺伝子とし,NGSにて解析を行なった。
【結果】解析対象者は531例(男性266名,女性265名,来談時平均年齢51.8±14.8歳)。531例中297例(55.9%)で原因遺伝子が同定された。原因遺伝子として同定された中で最も頻度が高かったのはEYSで105例(35.2%)であった。次いでUSH2Aが27例(9.1%),RPGRが16例(5.4%),CYP4V2が15例(5.0%),RP1が14例(4.7%),RHO,CHM,PRPH2,PRPF31がそれぞれ13例(4.4%)であった。同定された遺伝子の遺伝形式は,ARが210例(70.7%),ADが50例(16.8%),XLが37例(12.5%)であった。
【考察】今回解析した50遺伝子では同定率が50%を超えており,眼科診療や遺伝カウンセリングにおいて一定の臨床的有用性があることが示された。一方,NGSの解析では検査の限界があることも明らかになった。例えばNGSを用いたパネル検査はCNVの解析には不向きであること,RPGRではNGSで解析困難な領域が存在することなどが挙げられた。また,過去に報告のないバリアントも多数検出されており,一定の質を担保したバリアントの解釈が今後の課題である。