講演情報
[O19-2]ZC4H2の機能喪失はEMD発現調節を介して徐脈性不整脈を呈する
○山本 英範1, 宮井 俊輔2, 郷 清貴1, 森本 美仁1, 深澤 佳絵1, 倉橋 浩樹2, 加藤 太一1 (1.名古屋大学大学院 医学系研究科 小児科学, 2.藤田医科大学 医科学研究センター 分子遺伝学研究部門)
【背景】Wieacker-Wolff症候群(WWS)は精神運動発達遅滞、筋緊張低下などを呈する疾患であり、ZC4H2(Xq11.2)の機能喪失が原因である。WWSにおける最も高頻度な心血管表現型は徐脈性不整脈、特に洞結節機能不全(SND)である。本症候群の神経学的合併症に関する機能解析の報告は散見されるが、不整脈に関するものはない。我々は従来より、HEK293T細胞を用いたプロテオーム解析により、比較的簡易に単一遺伝子異常症の機能解析実験を行っており、この度、乳児期早期にSNDと房室ブロック(AVB)を発症したWWSの症例経験を機に、ノックダウン実験で不整脈の発症メカニズムを検討した。
【症例】在胎37週、2146gで他院出生した男児。先天的な関節拘縮の治療目的に当院NICUへ入院したが、入院中にSND、AVBを発症した。その他の合併症として、鼠径ヘルニア、停留精巣、脳室拡大などが認められ、臨床的にWWSが疑われた。両親から書面同意を取得したうえで遺伝学的検査を行い、アレイCGH法でZC4H2の全領域欠失が確認された。母にも軽度の先天性関節拘縮が認められており、MLPA法で保因者であることが確認された。
【方法と結果】HEK293T細胞にsiRNA(ZC4H2特異的またはコントロール)をトランスフェクションし、RT-PCR法でZC4H2の発現量が14%まで抑制されることを確認しうえで、同細胞から抽出された総蛋白に対してプロテオーム解析を行った(各群n=3)。測定された5727種の蛋白のうち、二群間で統計学的有意差が認められた416種を候補蛋白として選出した。候補蛋白のうち、不整脈関連蛋白(MeSH enrichment analysis, p<0.05)はINS、EMDのみであった。
【考察】EMDは核膜蛋白の一種であり、その遺伝子異常によりEmery-Dreifuss筋ジストロフィーを呈することが知られている。Emery-Dreifuss筋ジストロフィーは、本症例と同様にSNDやAVBを発症することが知られており、両疾患に共通の発症メカニズムが存在することが示唆された。
【症例】在胎37週、2146gで他院出生した男児。先天的な関節拘縮の治療目的に当院NICUへ入院したが、入院中にSND、AVBを発症した。その他の合併症として、鼠径ヘルニア、停留精巣、脳室拡大などが認められ、臨床的にWWSが疑われた。両親から書面同意を取得したうえで遺伝学的検査を行い、アレイCGH法でZC4H2の全領域欠失が確認された。母にも軽度の先天性関節拘縮が認められており、MLPA法で保因者であることが確認された。
【方法と結果】HEK293T細胞にsiRNA(ZC4H2特異的またはコントロール)をトランスフェクションし、RT-PCR法でZC4H2の発現量が14%まで抑制されることを確認しうえで、同細胞から抽出された総蛋白に対してプロテオーム解析を行った(各群n=3)。測定された5727種の蛋白のうち、二群間で統計学的有意差が認められた416種を候補蛋白として選出した。候補蛋白のうち、不整脈関連蛋白(MeSH enrichment analysis, p<0.05)はINS、EMDのみであった。
【考察】EMDは核膜蛋白の一種であり、その遺伝子異常によりEmery-Dreifuss筋ジストロフィーを呈することが知られている。Emery-Dreifuss筋ジストロフィーは、本症例と同様にSNDやAVBを発症することが知られており、両疾患に共通の発症メカニズムが存在することが示唆された。