講演情報

[O28-3]PP2A関連神経発達障害:疾患エクソーム解析で診断した5症例の報告

相良 真理子1,2, 小田 小百合1,2, 堀田 優稀1,2, 逆井 悦子1,2, 大場 大樹3, 来住 美和子3, 澤田 優貴3, 小林 美和3, 小山 真弘2, 大橋 博文3 (1.埼玉県立小児医療センター 遺伝検査室, 2.埼玉県立小児医療センター 検査技術部, 3.埼玉県立小児医療センター 遺伝科)
【はじめに】PP2A(プロテインホスファターゼ2A型)は微小管結合タンパクの主要なセリン/スレオニンホスファターゼで、3種類のサブユニット(A:足場、B:調節、C:触媒)で複合体を形成し脳の発達および機能において重要な調節的役割を担う。PP2Aサブユニットは19の遺伝子でコードされるが、その中で近年PPP2R5DPPP2R1APPP2CA変異が神経発達障害の原因として報告され、「PP2A関連神経発達障害」の疾患概念が提唱されている。疾患エクソーム解析でPP2A関連神経発達障害の5症例を診断した。
【症例(年齢・性別; 症状;遺伝子・変異の順に記載)】(1)10か月・男児;大頭,発達遅滞;PPP2R5D:p.E200K(2)10か月・女児;大頭,発達遅滞;PPP2R5D:p.E200K(3)2歳・男児;大頭,筋緊張低下,運動発達遅滞;PPP2R5D:p.E198K(4)8歳・男児;知的障害,てんかん,脳形成異常;PPP2R1A:p.P179L(5)8か月・女児;小頭,発達遅滞,体重増加不良;PPP2CA:p.E132Q
【考察】PP2A関連神経発達障害の5症例(PPP2R5D変異3例、PPP2R1A変異、PPP2CA変異それぞれ1例)を診断した。いずれのバリアントも、PP2Aサブユニットの結合能低下による不活性化が示唆される病原性バリアントと判断された。本5症例は2021年1年間の解析における診断例であり、当該年の発達遅滞・知的障害を主訴に施行した疾患エクソーム解析総数(116例)中の4%を占めていた。PP2A関連神経発達障害は、神経発達障害における重要な疾患群の一つと考えた。遺伝子型・表現型相関についての今後の検討が求められる。