講演情報

[O28-5]Face2GeneとSyndrome Finderによる骨系統疾患の診断精度の検討

原田 大輔, 柏木 博子, 上山 薫, 清野 佳紀, 山田 寛之 (地域医療機能推進機構(JCHO)大阪病院 小児科)
【背景】遺伝学的検査を行う際には、特異顔貌を含む患者の理学所見を詳細かつ正確に評価し、鑑別疾患を限定する必要がある。しかし、多種にわたる希少な遺伝疾患の特徴を臨床現場の医師が熟知することは困難である。現在Web上で使用できる診断補助ツールとして、顔認証技術を応用したFace2Gene(F2G)や疾患データベースをもとにしたSyndrome Finder(SF)などが使用可能である。
【目的】日本人骨系統疾患患者におけるF2GとSFの診断精度を評価する。
【方法】対象は遺伝学的検査で確定診断された骨系統疾患患者67名(骨形成不全症(OI)25名、軟骨無形成症/低形成症(ACH/HCH)16名、X連鎖性低リン血症性くる病(XLH)14名、その他12名)および参考として染色体異常症12名(うち21トリソミー7名)。F2Gでは(1)顔画像と(2)顔画像+臨床情報、SFでは(1)臨床情報と(2)臨床情報+顔貌の特徴、をそれぞれ入力した際の鑑別疾患リストを解析した。
【結果】評価時の平均年齢17.0±13.2歳、男:女=3:4であった。各解析の陽性的中率を提示する。
[F2G] (1)顔画像のみで第1候補0%、上位10疾患8%、(2)臨床情報を加えると第1候補12%、上位10疾患82%(染色体異常症で64%)。
[SF] (1)臨床情報のみで第1候補27%、上位10疾患67%、(2)顔情報を加えると第1候補29%、上位10疾患58%(染色体異常症で17%)。
[F2GとSFの和集合]第1候補35%、上位10疾患83%(OI 96%、ACH/HCH 75%、XLH 93%、21トリソミー82%)。
【考察】骨系統疾患の診断において、F2Gは臨床情報を加えた後の上位10疾患の候補リストであればある程度よい精度であったが、臨床現場で使用するにはかなりの改良が必要である。またSFは記述法であり、顔貌の特徴を正確に表現することが困難であった。しかし、F2GとSFを併用することで診断補助になる可能性が考えられた。今後、本邦独自の診断精度の高い診断ツールの開発につながることが期待される。