講演情報

[O30-3]顔貌情報を用いた診断補助アプリケーション Face2Gene の内分泌関連疾患における有用性

本川 未都里1, 中富 明子1, 二里 茉莉1, 浦川 立貴1, 原口 康平1, 渡辺 聡2, 三嶋 博之3, 吉浦 孝一郎3, 松本 正4, 近藤 達郎4, 伊達木 澄人1 (1.長崎大学病院 小児科, 2.わたなべ小児科, 3.長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 人類遺伝学, 4.みさかえの園総合医療発達福祉センターむつみの家)
【背景】先天異常症候群は、顔貌異常を含めた特徴的な表現型の組み合わせから診断に至る。しかし、表現型の多様性やその希少性から、臨床診断が困難であることも多い。Face2Geneは、米国FDNA社が開発し、医療従事者向けに無償で提供している顔貌画像を用いた診断補助アプリケーションである。しかし、疾患毎の感度や有用性については明らかでない。【目的】顔貌異常を伴う内分泌関連疾患のFace2Geneの有用性について明らかにする。【方法】既診断22q11.2 欠失症候群8例(男:女=6:2、年齢 2-14 歳)、Prader Willi症候群7例(男:女=5:2、年齢 7-19 歳)、Turner症候群4例(3-21歳)、Noonan症候群2例(13歳男児、14歳女児)の顔貌写真を用いて、Face2Geneの診断感度を検討した。【結果】22q11.2欠失症候群、Prader-Willi症候群、Noonan症候群全例において、Face2Geneの第一診断候補と既診断名が高いスコア(Medium~High)で一致した(感度 100%)。一方、Turner症候群では全例第一候補に同症候群はあがらなかった。【考察・結語】22q11.2 欠失症候群、Prader-Willi 症候群については、今回の結果はFace2Gene が極めて有効であることを示唆する。早期診断が可能となることで、継続的なトータルケア、 合併症の早期発見・介入を可能にする。一方、疾患によってその感度には幅があることが示唆された。その他の内分泌関連疾患の有用性については症例の蓄積を含めた更なる検討が必要である。本研究は長崎大学病院倫理委員会の承認を得て行った。課題名「先天異常症候群に対する顔貌画像を用いた診断補助システム(Face2Gene)の有用性に関する研究」 (許可番号 2111501)