講演情報
[P10-2]ミトコンドリア病疑いの未解決症例を対象とした全ゲノム解析とRNAシーケンスによるITPA遺伝子異常の同定
○大道 納菜子1, 新田 和広2, 八塚 由紀子2, 仲間 美奈1,3, 寺澤 厚志4, 小林 瑛美子5, 笹井 英雄6,7, 大竹 明8,9, 村山 圭10,11, 岡崎 康司2,12, 木下 善仁1,2 (1.近畿大学大学院 総合理工学研究科 理学専攻 遺伝カウンセラー養成課程, 2.順天堂大学大学院 難治性疾患診断・治療学講座/難病の診断と治療研究センター, 3.岐阜大学医学部付属病院ゲノム疾患・遺伝子診療センター, 4.岐阜県総合医療センター 小児循環器内科, 5.岐阜県総合医療センター 小児科, 6.岐阜大学大学院医学系研究科 小児科学, 7.かずさDNA研究所 ゲノム事業推進部 臨床オミックス解析グループ, 8.埼玉医科大学 小児科学・ゲノム医療学, 9.埼玉医科大学 難病センター, 10.千葉県こども病院 代謝科, 11.千葉県こども病院 遺伝診療センター, 12.国立研究開発法人 理化学研究所 生命医科学研究センター 応用ゲノム解析技術研究チーム)
【目的】ミトコンドリア病は、ミトコンドリア機能異常を呈する疾患の総称である。これまでミトコンドリア病を疑われた症例に対して、遺伝子診断のため既知のミトコンドリア病関連遺伝子を対象としたパネル検査やエクソーム解析を実施してきた。しかし、パネル検査やエクソーム解析では診断がつかない症例が存在する。そこで本研究では、遺伝子診断で未診断となっていたミトコンドリア病疑いの症例において、全ゲノム解析(WGS)およびRNAシーケンス(RNA-seq)を実施し、病因遺伝子を同定することを目的とした。
【方法】発端者は女児であり、0歳時に筋緊張低下、てんかん、発達遅滞を認めた。さらなる遺伝子診断のため、末梢血サンプルを用いてWGSを実施し、バリアントの探索を行った。また、患者の皮膚線維芽細胞を用いて、RNA-seq を行った。上記の解析にて検出されたバリアントの由来を特定するため、両親と患者の末梢血サンプルを用いてトリオ解析を実施した。
【結果・結論】 WGSおよびRNA-seq、サンガーシーケンス解析の結果、ITPA遺伝子にc.263+1G>Aと、NC_000020.11:g.(3217736_3217747)_(3221159_3221170)delの2種類の新規バリアントが検出された。欠失は約3.4kbp 離れた2つのAlu配列間で生じていた。RNA-seqの結果、c.263+1G>Aがエクソン4の伸長およびスプライシング異常を生じていることを確認した。また、約3.4kbpの欠失はエクソン6周囲におけるスプライシング異常を引き起こしていた。トリオ解析の結果、スプライシングバリアントは父由来、欠失は母由来であることを確認した。したがって発端者はITPA遺伝子の新規バリアントを複合ヘテロ接合性で有しており、ITPA遺伝子異常を原因とする発達性およびてんかん性脳症であることが明らかとなった。
【方法】発端者は女児であり、0歳時に筋緊張低下、てんかん、発達遅滞を認めた。さらなる遺伝子診断のため、末梢血サンプルを用いてWGSを実施し、バリアントの探索を行った。また、患者の皮膚線維芽細胞を用いて、RNA-seq を行った。上記の解析にて検出されたバリアントの由来を特定するため、両親と患者の末梢血サンプルを用いてトリオ解析を実施した。
【結果・結論】 WGSおよびRNA-seq、サンガーシーケンス解析の結果、ITPA遺伝子にc.263+1G>Aと、NC_000020.11:g.(3217736_3217747)_(3221159_3221170)delの2種類の新規バリアントが検出された。欠失は約3.4kbp 離れた2つのAlu配列間で生じていた。RNA-seqの結果、c.263+1G>Aがエクソン4の伸長およびスプライシング異常を生じていることを確認した。また、約3.4kbpの欠失はエクソン6周囲におけるスプライシング異常を引き起こしていた。トリオ解析の結果、スプライシングバリアントは父由来、欠失は母由来であることを確認した。したがって発端者はITPA遺伝子の新規バリアントを複合ヘテロ接合性で有しており、ITPA遺伝子異常を原因とする発達性およびてんかん性脳症であることが明らかとなった。