講演情報

[P11-11]KIAA0753の複合ヘテロ変異を同定した一女児例の経過とCiliopathyとしての評価

稲葉 美枝1, 上原 朋子1, 梅村 紋子2, 山本 ひかる3, 水野 誠司1, 小崎 健次郎4 (1.愛知県医療療育総合センター中央病院 遺伝診療科, 2.豊田市こども発達センターのぞみ診療所, 3.トヨタ記念病院 小児科, 4.慶應義塾大学医学部 臨床遺伝学センター)
はじめに)KIAA0753は2017年にJoubert syndrome38(MIM619476)(J S38)、Orofaciodigital syndrome15(MIM617127)(OFD15)、Short-Rib Thoracic Dysplasia 21(MIM619479)(SRTD21)の原因遺伝子として報告された。いずれも常染色体潜性遺伝形式の疾患である。2021年にKIAA0753 関連Ciliopathyとして過去の症例と併せて12例報告された。我々はKIAA0753複合ヘテロ変異を同定した報告例では最年長となる11歳の女児例を経験したので報告する。
症例)健康な20代前半の両親から正常妊娠及び分娩にて、在胎38週6日、体格と頭囲で仮死なく出生した。筋緊張低下があり、頚定5ヶ月、坐位1歳、つかまり立ち2歳、独歩4歳6ヶ月で獲得、有意語はまだ無い。新生児期からの両側中等度難聴、左腎萎縮、外反扁平足と膝関節・指関節過伸展、側弯、遠視乱視の合併を認めた。8歳時の頭部MRIは異常なく、四肢短縮や胸郭変形は認めない。9歳頃から周期的な睡眠障害及び気分障害を認めた。10歳5ヶ月から痙攣発作があり症候性焦点てんかんと診断した。全エクソーム解析で、母由来のNM_014804.2:c.778G>T, p.(Glu260*)、父由来のNM_014804.2:c.1298C>G, p.(Ala433Gly)を同定した。
考察)KIAA0753は有糸分裂時に中心体を構成する中心核の複製を制御する中心核サテライトタンパク質をコードしておりCiliopathy発症の原因となり得る。本症例は、JS38、OFD15、SRTD 21のいずれの病型にも合致しないが、Ciliopathyの症状が示唆される中枢神経症状、難聴、腎萎縮、骨格病変と多彩な症状を呈しKIAA0753 関連Ciliopathyと考えた。関節過伸展や経過中にてんかんを発症するなど新規の症状を認めた。