講演情報
[P11-2]成人期以降に関節症状や側彎症が進行し、包括的な医療・生活支援を必要とした古典型エーラス・ダンロス症候群の成人例2例
○神谷 素子1,2,3,4, 山口 智美1,2,3, 永井 爽1,2, 古庄 知己1,2,3 (1.信州大学 医学部附属病院 遺伝子医療研究センター, 2.信州大学 医学部 遺伝医学教室, 3.信州大学 医学部 クリニカルシーケンス講座, 4.信州大学 医学部 小児医学教室)
古典型エーラス・ダンロス症候群(Classical EDS:以下cEDS)は、5型コラーゲン遺伝子(COL5A1、COL5A2)異常に基づき、皮膚過伸展性、萎縮性瘢痕、全身関節可動性亢進を特徴とする遺伝性結合組織疾患である。他に、易出血性、反復性脱臼などの関節脆弱性、僧帽弁逸脱・逆流、大動脈基部拡張や血管組織脆弱性などの心血管合併症、脊椎側彎・後彎などの骨格変形を生じ、症状スペクトラムは幅広い。成人期以降に関節症状や脊椎変形が進行し、生活上の質が著しく低下し、濃厚な医療・生活支援を必要としたcEDS成人女性例を2例経験した。
【症例1】55歳女性。早産で出生。幼少期に皮膚裂傷を繰り返し、関節脱臼を反復した。20代まで自力歩行が可能であったが、次第に全身の関節疼痛が増強し、自力移動が困難となった。55歳時に施行した遺伝学的検査にてCOL5A1のミスセンスバリアントが検出され、cEDSと確定診断。関節保護を中心とした対症療法と生活サポートを継続中である。【症例2】62歳女性。先天性股関節脱臼で装具治療歴あり。幼少期に皮膚裂傷を繰り返した。14歳時に脊椎側彎症を指摘され装具治療を開始したが、成人期以降に脊椎後側彎、関節症状が進行し、強い変形のため歩行が困難となった。60歳時に施行した遺伝学的検査でCO5A1のスプライスバリアントが検出された。脊椎変形、手指関節変形、膀胱機能障害、直腸脱などで生活上の困難感は強く、濃厚な医療・生活支援を必要としている。
通常cEDSにおいては、小児期より皮膚・関節脆弱性の保護を観点に診療が行われる。成人期以降に関節脆弱性や骨格症状が進行し、生活の質が著しく低下する例を経験し、包括的かつ手厚い医療・生活支援体制の構築を要する場合があることを認識した。
【症例1】55歳女性。早産で出生。幼少期に皮膚裂傷を繰り返し、関節脱臼を反復した。20代まで自力歩行が可能であったが、次第に全身の関節疼痛が増強し、自力移動が困難となった。55歳時に施行した遺伝学的検査にてCOL5A1のミスセンスバリアントが検出され、cEDSと確定診断。関節保護を中心とした対症療法と生活サポートを継続中である。【症例2】62歳女性。先天性股関節脱臼で装具治療歴あり。幼少期に皮膚裂傷を繰り返した。14歳時に脊椎側彎症を指摘され装具治療を開始したが、成人期以降に脊椎後側彎、関節症状が進行し、強い変形のため歩行が困難となった。60歳時に施行した遺伝学的検査でCO5A1のスプライスバリアントが検出された。脊椎変形、手指関節変形、膀胱機能障害、直腸脱などで生活上の困難感は強く、濃厚な医療・生活支援を必要としている。
通常cEDSにおいては、小児期より皮膚・関節脆弱性の保護を観点に診療が行われる。成人期以降に関節脆弱性や骨格症状が進行し、生活の質が著しく低下する例を経験し、包括的かつ手厚い医療・生活支援体制の構築を要する場合があることを認識した。