講演情報
[P11-7]シスチン尿症122例の遺伝子解析 -日本人特異的P482L -
○関根 瑞香1,2, 坂本 信一3, 今村 有佑3, 宇津野 恵美2, 渡辺 夏未2, 田中 裕子4, 野竹 真未4, 市川 智彦2,3 (1.千葉大学大学院 医学薬学府 先端医学薬学専攻 泌尿器科学, 2.千葉大学医学部附属病院 遺伝子診療部, 3.千葉大学医学部附属病院 泌尿器科, 4.千葉大学大学院 医学薬学府 医科学専攻 展開医科学コース 泌尿器科学)
【背景・目的】シスチン尿症は、SLC3A1/SLC7A9遺伝子を原因とする腎結石症である。原則、常染色体劣性遺伝形式をとるが、ヘテロでの発症も多く報告されており、優性遺伝形式をとる場合もある。SLC3A1遺伝子のバリアントをA、SLC7A9遺伝子のバリアントをBと表すことで(TypeAA、TypeB等)、遺伝学的に分類されている。日本人患者41例についての先行研究(Shigeta et al, 2006)によると、約7~8割にSLC7A9遺伝子のP482Lが認められている。海外では(当時)P482Lの報告が全くないことから、日本人特異的なバリアントである可能性が指摘されていた。本研究では、より多くの日本人症例について遺伝子解析を実施することで、改めてP482Lの頻度を確認するとともに、P482Lについての海外での報告を調査した。
【方法】115家系122症例を対象に、NGSを用いてSLC3A1/SLC7A9遺伝子のエクソンおよびエクソン-イントロン境界領域の解析を実施した。海外における報告の調査には、PubMed、gnomAD、ToMMoなどのDBを用いた。
【結果】TypeAAが15例、TypeBBが89例、TypeAが1例、TypeBが10例、TypeAABが1例、TypeABBが4例、バリアントなしが2例であった。また、122例中87例(約71%)にP482Lを認めた。海外においては、韓国(1/8)、イタリア(1/168)、UK(1/74)、ポーランド(1/30)からP482Lの報告があったが(P482Lが認められた例/全症例)、日本に比較すると圧倒的に報告頻度が低いことが分かった。一般集団におけるアレル頻度については、全世界トータルでは約0.00004のところ、日本人では約0.004~0.006であり、約100倍のアレル頻度であった。
【考察】日本人のシスチン尿症患者の約7割にP482Lが認められた。海外での報告が少ないこと、一般集団におけるアレル頻度が日本人で高いことから、日本人特異的なバリアントであることが強く示唆される。今後、P482Lが生じた時期について解析を行うことで、P482Lのルーツを探りたいと考える。
【方法】115家系122症例を対象に、NGSを用いてSLC3A1/SLC7A9遺伝子のエクソンおよびエクソン-イントロン境界領域の解析を実施した。海外における報告の調査には、PubMed、gnomAD、ToMMoなどのDBを用いた。
【結果】TypeAAが15例、TypeBBが89例、TypeAが1例、TypeBが10例、TypeAABが1例、TypeABBが4例、バリアントなしが2例であった。また、122例中87例(約71%)にP482Lを認めた。海外においては、韓国(1/8)、イタリア(1/168)、UK(1/74)、ポーランド(1/30)からP482Lの報告があったが(P482Lが認められた例/全症例)、日本に比較すると圧倒的に報告頻度が低いことが分かった。一般集団におけるアレル頻度については、全世界トータルでは約0.00004のところ、日本人では約0.004~0.006であり、約100倍のアレル頻度であった。
【考察】日本人のシスチン尿症患者の約7割にP482Lが認められた。海外での報告が少ないこと、一般集団におけるアレル頻度が日本人で高いことから、日本人特異的なバリアントであることが強く示唆される。今後、P482Lが生じた時期について解析を行うことで、P482Lのルーツを探りたいと考える。