講演情報
[P12-3]大脳形成異常と網膜色素変性症を合併した家族例
○中川 栄二1, 山崎 広子2 (1.国立精神・神経医療研究センター病院小児神経科, 2.国立国際医療研究センター国府台病院神経眼科)
【はじめに】大脳形成異常と網膜色素変性症を併存しMicrocephaly‐lymphoedema‐chorioretinal dysplasia (MLCRD)と診断し、全エクソーム解析でKIF11 遺伝子変異を認め確定診断できた母子例を経験した。【症例:母】33歳女性。血族結婚なし。母は緑内障の既往あり。小学校時代から視力は悪かった。24歳時に原因不明の網膜変性と診断された。その後視力は徐々に低下していた。非典型的な網膜色素変性症の所見(斑状の色調変化、視神経軽度蒼白)が認められた。頭部MRIで小頭、全体的に脳溝がやや浅く脳回が厚い。Flash-visual evoked potential(VEP)で波形の分離がやや悪くI~III波で潜時の延長を認めた。Pattern-VEPでは有意な波形の出現を認めなかった。【症例:子】1歳10か月男児。第1子、同胞なし。在胎30週頃から児頭大横径、頭囲の発育不全を指摘された。39週、臍帯下垂のため帝王切開で出生。仮死なし。頸定3か月、寝返り10か月、伝い歩き1歳2か月、独歩未獲得。あやし笑い3か月、追視3か月、有意語未獲得。出生後小頭であるため生後1か月時に頭部MRIを施行され単純脳回を認めた。1歳5か月時、網膜色素変性を認めた。Flash-VEPでは異常所見を認めなかった。【経過】頭部MRIで母子ともに小頭、単純脳回を認め、microcephaly‐lymphoedema‐chorioretinal dysplasia (MLCRD)が疑われた。単純脳回パターンを示す先天性小頭症、網脈絡膜症からKIF11 遺伝子変異を疑い、遺伝学的解析を行いKIF11 遺伝子変異を認め確定診断となった。【結語】小頭症と網膜色素変性症からKIF11変異を認めた母子例を経験した。MLCRDについて文献的考察を含めて報告する。