講演情報
[P12-7]日本におけるCharcot-Marie-Tooth病の包括的遺伝子解析及び遺伝学的特徴
○吉村 明子1, 安藤 匡宏1, 樋口 雄二郎1, 袁 軍輝1, 橋口 昭大1, 岡本 裕嗣1,2, 高嶋 博1 (1.鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 脳神経内科・老年病学, 2.鹿児島大学医学部保健学科 基礎理学療法学科)
【目的】Charcot-Marie-Tooth病(CMT)は、臨床的複雑性および遺伝的多様性、大欠失や重複、リピート伸長など様々なゲノム変異により、明確な遺伝子診断は困難である。本研究では包括的遺伝子解析を実施し、本邦におけるCMTの遺伝学的特徴を明らかにする。【方法】対象は2007年4月から2022年2月に、PMP22の重複・欠失陽性検体をあらかじめ除外し、日本全国から依頼を受けたCMT 2695例。遺伝子解析は、DNAマイクロアレイ、次世代シーケンサーによる遺伝子パネルシーケンシング、全エクソームシーケンシング、コピー数変異(CNV)解析、RFC1リピート伸長解析を用いて行った。【結果】全体の診断率と患者の遺伝子スペクトルをまとめた。病的もしくは病的意義の高い症例を909例(33.7%)同定した。最も一般的な原因遺伝子は、MFN2、GJB1、MPZ、MMEであった。MFN2は20歳以下発症の患者に最も多く、GJB1とMPZはそれぞれ21-40歳発症症例と41歳以上発症症例の主要な原因であった。一方、GJB1は脱髄型、MFN2は軸索型の主要な原因であった。さらに、MPZの重複を1症例, GJB1遺伝子の欠失を2症例、RFC1リピート伸長を18症例に同定した。【考察】包括的な遺伝子解析により、我々のCMT症例の遺伝的特徴が明確に示された。CMTの臨床的特徴と遺伝スペクトラムのさらなる解析は、効率的な遺伝子検査の開発や早期診断に役立つと考えられる。