講演情報
[P19-10]X連鎖性低リン血症性くる病に対する抗FGF23抗体(ブロスマブ)治療効果の検討
○柏木 博子, 原田 大輔, 上山 薫, 山田 寛之, 清野 佳紀 (地域医療機能推進機構(JCHO)大阪病院 小児科)
【背景】X連鎖性低リン血症性くる病(X-linked hypophosphatemic rickets; XLH)はPHEX遺伝子の機能喪失型変異により、血中FGF23上昇、低リン血症をきたし、小児期にO脚などのくる病症状により診断される。頻度は約2万人に1人で、従来中性リン製剤と活性型ビタミンD投与が行われてきたが、近年抗FGF23抗体(ブロスマブ)による治療が可能となった。
【方法】ブロスマブ治療中のXLH患者16名の背景、生化学的データ、X線所見および合併症を後方視的に検討した。
【結果】対象は16名(8家系、男6名、女10名)、ブロスマブ開始時年齢は1~56歳(中央値12.4歳)、身長SDSは-1.93±0.82、血清FGF23は247.6±228.3 pg/mlであった。PHEX遺伝子解析を行った14例全例に病的バリアントを認め、うち2例は過去に報告のないバリアントであった。ブロスマブ投与期間は 36.6±18.9 ヶ月で、ブロスマブ開始時の血清リンは2.09±0.46 mg/dL、半年後2.82±0.53 mg/dL、1年後2.95±0.58 mg/dL、2年後2.88±0.46 mg/dL、尿細管リン再吸収閾値(TmP/GFR)は開始時1.78±0.58 mg/dL、半年後2.63±0.61 mg/dL、1年後2.87±0.86 mg/dL、2年後2.76±0.74 mg/dLといずれも開始時と比較して有意に上昇した(p<0.05)。小児におけるくる病重症度スコア(Rickets Severity Score; RSS)はブロスマブ開始時2.00±1.67、半年後0.89±0.66、1年後0.94±0.80と有意に改善した(p<0.05)。また難聴は2例(12.5%)、骨折または偽骨折は3例(18.8%)に認め、脊椎MRIを評価した成人5例全例に脊柱管狭窄症を認めた。
【考察】XLHに対するブロスマブ治療により血清リン値、TmP/GFRの改善を認め、小児ではくる病所見の改善がみられた。XLHでは小児から成人にかけて多彩な症状がみられるが、長期的予後に関しては不明な点も多く、ブロスマブ治療の適応症例や至適投与量、投与期間についてさらなる検討が必要である。
【方法】ブロスマブ治療中のXLH患者16名の背景、生化学的データ、X線所見および合併症を後方視的に検討した。
【結果】対象は16名(8家系、男6名、女10名)、ブロスマブ開始時年齢は1~56歳(中央値12.4歳)、身長SDSは-1.93±0.82、血清FGF23は247.6±228.3 pg/mlであった。PHEX遺伝子解析を行った14例全例に病的バリアントを認め、うち2例は過去に報告のないバリアントであった。ブロスマブ投与期間は 36.6±18.9 ヶ月で、ブロスマブ開始時の血清リンは2.09±0.46 mg/dL、半年後2.82±0.53 mg/dL、1年後2.95±0.58 mg/dL、2年後2.88±0.46 mg/dL、尿細管リン再吸収閾値(TmP/GFR)は開始時1.78±0.58 mg/dL、半年後2.63±0.61 mg/dL、1年後2.87±0.86 mg/dL、2年後2.76±0.74 mg/dLといずれも開始時と比較して有意に上昇した(p<0.05)。小児におけるくる病重症度スコア(Rickets Severity Score; RSS)はブロスマブ開始時2.00±1.67、半年後0.89±0.66、1年後0.94±0.80と有意に改善した(p<0.05)。また難聴は2例(12.5%)、骨折または偽骨折は3例(18.8%)に認め、脊椎MRIを評価した成人5例全例に脊柱管狭窄症を認めた。
【考察】XLHに対するブロスマブ治療により血清リン値、TmP/GFRの改善を認め、小児ではくる病所見の改善がみられた。XLHでは小児から成人にかけて多彩な症状がみられるが、長期的予後に関しては不明な点も多く、ブロスマブ治療の適応症例や至適投与量、投与期間についてさらなる検討が必要である。