講演情報
[P19-7]リスク低減卵管卵巣摘出術を施行した異時性両側乳癌術後の二例
○竹中 美貴1,2, 山口 美樹1,2, 渡邊 秀隆1,2, 田尻 健亮1,2, 横山 吾郎3, 三原 勇太郎4, 山口 倫4,5, 田中 眞紀1, 赤木 由人2 (1.JCHO 久留米総合病院 乳腺外科, 2.久留米大学医学部 外科学講座, 3.よこやま乳腺外科クリニック, 4.久留米大学医学部 病理学講座, 5.久留米大学医療センター 病理診断科)
症例1は43歳女性、初発は36歳時に左授乳期乳癌 pT1cN0M0 stageI, ER0,Pg0,HER2(1+)の診断で、左乳全房切除+センチネルリンパ節生検+組織拡張器挿入を施行した。受精卵凍結を行った後、術後補助化学療法FEC100療法4コース、DTX75療法4コース施行、38歳時に第2子を出産した。41歳時に右乳癌 pT1N1(2/13)M0 stage IIA, ER3,PgR0,HER2(1+)の診断となり、右乳房全切除+腋窩リンパ節郭清を施行した。術後補助化学療法TC療法4コースを施行し、タモキシフェン内服を開始した。他院遺伝外来を紹介受診、BRCA1変異陽性が判明、同院婦人科でリスク低減卵管卵巣摘出術を施行した。卵巣には明らかな腫瘍性変化は認めず、無再発生存中である。症例2は45歳女性、初発は40歳時(出産2回後)に右乳癌pT4bN1M0 stageIIIB, ER0,PgR0.HER2(0)の診断で右乳房全切除+腋窩リンパ節郭清を施行。術後補助化学療法FEC100療法4コース、DTX75療法4コース施行し、胸壁・傍鎖骨への放射線治療を施行した。42歳時に左乳癌pT2N0M0 stageIIA ER0,PgR0.HER2(0)の診断で左全乳房切除+腋窩リンパ節郭清施行し、術後TC療法4コース施行した。他院遺伝外来を紹介受診、BRCA1変異陽性が判明、同院婦人科でリスク低減卵管卵巣摘出術を施行した。卵巣に明らかな腫瘍性変化はなく、無再発生存中である。2020年4月よりHBOC(遺伝性乳癌卵巣癌症候群)に対する予防的切除も保険適用となったが、挙児希望などを含めどのタイミングで予防的切除を実施するかは難しい。本症例を含め当院での遺伝性乳癌への取り組み、検査結果の現状を報告する。