講演情報

[P20-1]生後早期から重度の神経学的異常を呈しMECP2変異を認めた男児2例

山田 直紀1, 九鬼 一郎1, 松原 康平1, 石岡 梨紗子2, 温井 めぐみ1,2, 井上 岳司1, 岡崎 伸1,2, 天羽 清子3, 外川 正生4, 高橋 悟5, 加藤 光広6 (1.大阪市立総合医療センター 小児脳神経内科, 2.大阪市立総合医療センター 小児言語科, 3.大阪市立総合医療センター 小児救急・感染症科, 4.医誠会病院 小児科, 5.旭川医科大学 小児科, 6.昭和大学医学部 小児科学講座)
【はじめに】methyl-CpG binding protein 2(MECP2)遺伝子はX染色体上に存在し、機能喪失型変異は女児でRett症候群を引き起こす。男児では同変異の多くが胎生致死となるため報告例が少ない。今回、生後早期から重度の神経学的異常を呈しMECP2遺伝子の変異を認めた男児2例の臨床経過を報告する【症例1】在胎39週3日、体重2805g、頭囲32cmで出生。兄2名を含め家族歴に特記事項なし。生直後から哺乳不良のため体重増加不良あり。頭囲は生後3か月頃から停滞し、小頭症を呈した。6か月で未定頸。乳児期から上気道感染の度に人工呼吸管理を要し、無呼吸も頻繁に認めた。1歳時に気管切開術と胃瘻造設術を施行した。全エクソーム解析でMECP2遺伝子のフレームシフト変異(c.808delC)が判明した。両親に同変異はなくde novoと判明した。経過中にてんかんと洞不全症候群も認めた。9歳時に誘因なく心停止となり死亡した。【症例2】在胎39週5日、体重2660g、頭囲33.5cmで出生。同胞なし。家族歴に特記事項なし。生直後から哺乳不良のため体重増加不良あり。頭囲は生後3か月頃から停滞し小頭症を呈した。乳児期から上気道感染の度に人工呼吸管理を要し、無呼吸も頻繁に認めた。1歳時に胃瘻造設術、2歳時に気管切開術を施行した。また、同時期からてんかん発作と、心拍数30台まで低下する高度徐脈のエピソードを認めた。症例1と類似の経過を辿ったことからMECP2遺伝子変異を疑い遺伝子検査を行ったところミスセンス変異(c.316C>T)が判明した。両親に同変異はなくde novoと判明した。【考察】生後早期から重度の神経学的異常を認め、2例とも無呼吸と高度の徐脈を呈した。乳児期早期から小頭症を呈し、Rett症候群に特徴的な手の常同運動は認めなかった。男児においてMECP2遺伝子変異を想起することは稀だが、生後早期からの神経学的異常、乳児期早期の頭囲停滞、無呼吸や徐脈を呈する例では鑑別疾患に加えることが重要である。