講演情報

[P20-11]希少・未診断疾患研究推進コンソーシアム滋賀の活用によるDYRK1A-related intellectual disability syndromeの診断

丸尾 良浩1,2, 勝元 さえこ2, 田川 晃司1, 筒井 英美1, 塚村 篤史1, 長井 静世1, 松井 克之3, 小崎 健次郎4 (1.滋賀医科大学 医学部 小児科学講座, 2.滋賀医科大学 医学部 臨床遺伝相談科, 3.滋賀県立小児保健医療センター 内分泌代謝糖尿病科, 4.慶應大学 医学部 臨床遺伝学センター)
臨床現場では診断のつかない症例が多数ある。これら未診断症例について慶應大学医学部臨床遺伝学センターの「未診断疾患イニシアチブ(IRUD-P)」の共同研究機関として「希少・未診断疾患研究推進コンソーシアム滋賀」を2018年1月より運用している。そのなかで、重度の発達遅滞について遺伝相談を契機として解析を行い、診断に至ったDYRK1A-related intellectual disability syndromeについて報告する。症例は28歳男性。原因不明の重度の発達障害、自閉性障害。小頭症と特徴的な顔貌をみとめる。当科には12歳時に多飲多尿の精査で受診。多飲多尿については心因性多飲と診断されたが、2型糖尿病、尿細管障害を認めている。今回、兄の結婚に伴い、相手方より患者の染色体分析(テロメア解析と含む)を求められ、患者の遺伝子診断を含み相談をうけた。明らかに合致する疾患を同定できないため、遺伝カウンセリングを行なった上で次世代シーケンサー法を用い本人およびご両親のトリオ解析を行なった。患者にはdual-specificity tyrosine-phosphorylation-regulated kinase 1A(DYRK1A)にc.1400G>A, p.R467Qをヘテロ接合性にみとめた。両親には変異を認めずin silico assayで病的変異と判断され、原因変異でありDYRK1A-related intellectual disability syndromeと診断した。本疾患は重度の精神発達遅滞、自閉性障害、小頭症、特異的な顔貌、低身長を呈する。まだ、症例の報告が少なく臨床像については不明な点が多い。結果についてはご家族に遺伝カウンセリングを施行した。診断のつかない症候性、家族性疾患に次世代シーケンサー法を用いたトリオ解析は有用な検査法であり、遺伝カウンセリングにも有用なこともあると考えられた。