講演情報
[P20-12]HRAS遺伝子に新規ミスセンスバリアント(p.Gly13Ala)を同定した軽症Costello症候群
○伊達木 澄人1, 川村 遥1, 本川 未都里1, 森内 浩幸1, 後藤 悠輔2, 青木 洋子2 (1.長崎大学病院 小児科, 2.東北大学大学院医学系研究科 遺伝医療学分野)
【背景】Costello症候群は、低身長、発達遅滞、特徴的な顔貌、カールした毛髪、手足の深い皺、肥大型心筋症を含む先天性心疾患、悪性腫瘍易発生を特徴とするRAS/MAPK症候群の一つである。HRAS遺伝子p.Gly12SerがHot spotであり、同症候群の80%に同定される。【目的】HRAS新規ミスセンスバリアント(p.Gly13Ala)を有する症例の詳細な表現型を報告するとともに、遺伝型-表現型の関連性について考察する。【症例】初診時6歳女児。低身長傾向(-1.9SD),軽度発達遅滞(IQ78)、特異顔貌(眼裂斜下,眼間開離,内眼角贅皮)の原因精査のため当院へ紹介となった。軽度の翼状頸、胸郭変形(鳩胸、漏斗胸)を認めた。心エコー上明らかな異常はなかった。臨床症状からNoonan症候群を疑い、遺伝学的解析を行った。 【Noonan症候群関連遺伝子パネル解析(かずさDNA研究所)】Noonan症候群の原因遺伝子に病的バリアントは検出されなかった。一方で鑑別診断として解析されたHRAS遺伝子に新規のミスセンスバリアント(c.38G>C, p.Gly13Ala)をヘテロ接合性に同定した。両親には同バリアントは認めず、de novoの変異であった。【考察・結語】患児は、特徴的な乳幼児期の摂食障害、先天性心疾患、髪の所見が乏しく、Costello症候群としては非典型的であった。HRASコドン13に位置する変異を有する症例は、コドン12変異陽性例に対して、軽症で腫瘍合併は極めて稀と報告されている。HRAS p.Gly13Alaにおいても軽症Costello症候群の原因である可能性がある。HRAS関連疾患における遺伝型-表現型の関連性の解明のためには,さらなる症例の蓄積・検討が必要である.