講演情報
[P20-5]周期的な不機嫌を呈したBosch-Boonstra-Schoaf optic atrophy syndromeの1例
○大西 徳子1,3, 洪本 加奈2, 森貞 直哉1,2,5, 佐伯 啓介4, 野津 寛大5 (1.兵庫県立こども病院 臨床遺伝科, 2.兵庫県立こども病院 ゲノム医療センター, 3.兵庫県立丹波医療センター 小児科, 4.西脇市立西脇病院 小児科, 5.神戸大学 大学院 医学研究科 内科系講座小児科学分野)
【緒言】Bosch-Boonstra-Schaaf optic atrophy syndrome(BBSOAS:MIM#615722)は発達遅滞と知的障害、視覚障害を呈する常染色体顕性遺伝性疾患である。原因遺伝子としてNR2F1が同定されているが、本邦での報告は少ない。今回全エクソン解析によりNR2F1のヘテロ接合性ミスセンスバリアントを認め、BBSOASと診断した症例を経験したので報告する。【症例】7歳男児。家族歴に特記事項なし。在胎38週3日、出生体重2986gで仮死なく出生した。生後4か月時に未頚定・追視不良あり、1歳時に座位保持不可、追視・瞬目なく眼科で弱視と視神経委縮を指摘された。頭部MRIや脳波検査は異常なく、染色体検査(G band)は46,XYであった。2歳3か月時に発達遅滞の精査を行われ、乳幼児発達スケール検査で運動0歳6か月、理解言語0歳7か月、総合発達年齢0歳5か月、総合発達指数19と重度の発達遅滞を認めた。脳波・頭部MRI・髄液検査・代謝異常検査等は異常なかった。7歳時に独歩不可、有意語なく意思疎通不可であり、季節の変わり目に起こる周期的な不機嫌、不眠や自傷行為が目立つようになり、原因検索目的に当院を紹介受診された。遺伝カウンセリングの後、同意を得て全エクソン解析を行った。その結果NR2F1にヘテロ接合性ミスセンスバリアント(c.327C>A)を認め、両親には同じバリアントは認めなかったため、臨床症状とあわせてBBSOASと診断した。【考察】BBSOASは重度の発達遅滞や視覚障害が特徴であるが、睡眠障害を約6割に認めると報告されている。一方、周期的な不機嫌に関する報告はないが、過去の報告でNR2F1の遺伝子型表現型相関による臨床的特徴の有病率の差が示唆されており、多様な臨床的特徴の一つである可能性がある。