講演情報

[P20-7]MSTO1変異によるmitochondrial myopathy and ataxia の3例

岡本 伸彦1,2, 西 恵理子1, 長谷川 結子1, 宮 冬樹3, 小崎 健次郎3 (1.大阪母子医療センター 遺伝診療科, 2.大阪母子医療センター 研究所, 3.慶應義塾大学 臨床遺伝学センター)
【目的】MSTO1(misato mitochondrial distribution and morphology regulator 1)はミトコンドリアが細胞内で適切に分布して形態を整えるための機能を持つ。Mitochondrial myopathy and ataxia (MMYAT:MIM#617675)の責任遺伝子である。常染色体潜性遺伝による。主な症状として精神運動発達遅滞、知的障害、筋力低下(ミオパチーないしジストロフィー)、成長障害、色素性網膜異常、視力障害、小脳失調を認める。MRIでは小脳萎縮を認める。【症例】(5歳女児)正期産で周産期に特記事項なし。生後より哺乳栄養障害、頚定など運動発達の顕著な遅れあり。4か月健診で眼振を認め、網膜色素変性を指摘された。頭部MRIで小脳低形成、橋低形成を認めた。5歳で未歩行、有意語はなく、重度成長障害で特異顔貌も認めた。けいれんの既往はない。血清CKは500前後の高値で推移している。(小脳萎縮の姉妹)小脳低形成、失調、高CK血症の姉妹例。眼底異常はなかった。【方法】トリオでの全エクソーム解析を行った。結果はサンガー法で確認した。解析前後に遺伝カウンセリングを行い、書面で意思確認を行い、結果を開示した。姉妹例でも複合ヘテロ接合の変異を同定した。【結果】5歳女児ではMSTO1:NM_001350775:c.79C>T:p.Gln27*、c.947T>G:p.Phe316Cysと、複合ヘテロ接合の変異を同定した。姉妹例も複合ヘテロ接合の変異を同定した。【考察】MMYATは特徴的な臨床像を呈するミトコンドリア病の1種である。小脳失調、CK高値を伴う筋ジストロフィー、網膜症が特徴的である。進行性の経過をとる可能性がある。国内ではIwamaらの報告がある。今後の症例の蓄積が重要である。